『2人のローマ教皇』あらすじ・感想【人は話し合うことでしか分かり合えない】 | The Bird's Nest Hair  
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『2人のローマ教皇』あらすじ・感想【人は話し合うことでしか分かり合えない】

終身職である教皇を自らの意思で辞任したベネディクト16世(およそ700年ぶりの出来事)と、史上初めて南北アメリカから新教皇に選出されたフランシスコ枢機卿(本名はホルヘ・マリオ・ベルゴリオ)。

フェルナンド・メイレレス監督作、アンソニー・ホプキンス、ジョナサン・プライス主演によって描かれる、2人の聖職者の知られざる「対話」。

本記事では、Netflixオリジナル映画『2人のローマ教皇』のあらすじと感想をまとめています。

FT

創造的で刺激的、素晴らしい「対話劇」でした。本当に素晴らしい作品です。

『2人のローマ教皇』スタッフ&キャスト

『2人のローマ教皇』スタッフ

『2人のローマ教皇』スタッフ
監督フェルナンド・メイレレス
脚本アンソニー・マクカーテン
製作総指揮ダン・リン
撮影セザール・シャローン
音楽ブライス・デスナー
制作・配給Netflix

監督:フェルナンド・メイレレス

ブラジル・サンパウロ出身の映画監督、フェルナンド・メイレレス。

彼の名を一躍有名にしたのが、2002年公開の映画『シティ・オブ・ゴッド』です。

リオデジャネイロのファヴェーラ(スラム)の子供達の抗争を描いたこの作品は、世界中で高い評価を受け、同年のアカデミー賞作品賞にもノミネートされました。

最新作『2人のローマ教皇』もすでに世界各国で絶賛の嵐、賞レースにも大きく関わってくることは確実です。

制作・配給:Netflix

2019年も、Netflixの勢いが止まりません。

アカデミー賞の前哨戦として名高い(第77回)ゴールデングローブ賞の最重部門・作品賞にノミネートされた5作品のうち、なんと3作品がNetflixオリジナル作品となりました。

・『2人のローマ教皇』(Netflix)
・『アイリッシュマン』(Netflix)
・『マリッジ・ストーリー』(Netflix)
・『ジョーカー
・『1917 命をかけた伝令』

Netflixオリジナル作品は、その他17の部門でノミネートされています。

2020年もNetflixから目が離せません。

『2人のローマ教皇』キャスト

『2人のローマ教皇』キャスト
ベネティクト16世アンソニー・ホプキンス
フランシスコ(本名:ホルヘ・マリオ・ベルゴリオ)枢機卿ジョナサン・プライス
若き日のベルゴリオフアン・ミヌヒン
ピーター・タークソン枢機卿シドニー・コール
エンマ・ボニーノ本人

アンソニー・ホプキンス

名優アンソニー・ホプキンスが前教皇のベネティクト16世を熱演。

いや、「熱演」と言う言葉は、アンソニー・ホプキンスという俳優にはふさわしくないのかもしれません。

「演技というものは絵空事であって、その要素はすべてシナリオの中にある」を持論として、脚本家の書いた台本(シナリオ)のチェック・暗記を徹底的に行い、台詞など、役に関する全てを自分の中に落とし込む。

「役に寄せる」というより、「役を寄せる」卓越した演技力。

役への徹底的なアプローチで知られるロバート・デ・ニーロ等とは、対極に位置する役者と言えます。

ホプキンスといえば『羊たちの沈黙』のハンニバル・レクター博士役が鮮烈ですが、本作も素晴らしいです。

ジョナサン・プライス

飄々とした雰囲気、卓越した演技力で40年以上もの間、第一線で活躍し続ける名優、ジョナサン・プライス。

個人的に好きな出演作は、『未来世紀ブラジル(サムローリー役)』と『パイレーツ・オブ・カリビアン(ウェザビー・スワン総督役)』シリーズですね。

『2人のローマ教皇』あらすじ(ネタバレ)

2013年―

1本の電話をかける男性。どうやら、航空券の手配がしたいらしい。

オペレーターに氏名を訊ねられる。

「ホルヘ・マリオ・ベルゴリオ」

現ローマ教皇と同じ名だ。

続いて住所。

「バチカン市国」

ローマ教皇と同じ住所だ。

いたずら電話と思われてしまい、男性は一方的に電話を切られてしまう。

電話をかけていた人物は、本物のホルヘ・マリオ・ベルゴリオ。現ローマ教皇だった。

2012年―

全世界10億人以上の信者を束ねる宗教団体「ローマ・カトリック教会」。その最高指導者であり、バチカン市国の国家元首でもある「ローマ教皇」。

カトリック教徒にとっては、全知全能の神の代理人であり、絶大なる権威と影響力をもつとされているローマ教皇に、辞任を申し出るひとりの聖職者がいた。

ホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿だ。

教会に不信感を募らせる続けるベルゴリオ枢機卿は、教皇であるベネティクト16世に辞任を申し出るが、数々のスキャンダルに直面している真っただ中の教皇は、この申し出を拒み、そして、ベルゴリオをローマへと呼び寄せる。

対面する、現ローマ教皇と次期ローマ教皇。

しかし、当然、ベルゴリオは自分が次の教皇になるとは夢にも思っていない。ベネティクトが教皇の辞任を考えていることも、もちろん知るはずもない。

考え方、主義が全く異なる2人。

しかし、「神」から見れば等しい「人間」。

ベネティクトとベルゴリオはファンタを飲み、ピザを食べ、ピアノを弾き、ダンスを踊り、そしてよく話した。

話すことで互いに歩み合い、理解を深める。

そして迎える、およそ700年ぶりのローマ教皇の生前辞任の日。それに伴う、コンクラーベ。

『2人のローマ教皇』感想

宗教者同士の、しかも高齢者による対話劇なんて退屈なだけではないのか…。

そう思っていた自分が恥ずかしい。

あの頃の愚かな自分をどうかお許しください。

社会や組織に対する批判や批評を笑いで包み込むユーモア、台詞のひとつひとつに散りばめられた知性…

これほど創造的な対話劇はありません。

話すことでしか分かり合えない

考え方が全く異なるベネティクトとベルゴリオ。

「保守派(ベネティクト)」と「進歩派(ベルゴリオ)」。

キリスト教に関しての知識は、まったくと言っていいほど持ち合わせていないので、難しいことはよくわかりません。(本作は知識がなくてもめちゃくちゃ楽しめる)

しかし、「保守派(ベネティクト)」と「進歩派(ベルゴリオ)」の違い、ふたつ(ふたり)を隔てる壁の高さについては、想像がつきます。

二人は壁を乗り越え、共に手を取り合いダンスを踊ります。

なぜ、そんなことが可能なのか

「対話」です。

人は、話すことでしか真に分かり合うことはできませんん。

しかし、話すことで誰でも、誰とでも分かり合うことができるのです。

歴史的教皇交代劇の裏舞台に隠された、ひとり対ひとりの人間同士の“ただ”の対話。

好きな音楽、食べもの、テレビ番組、趣味、過去に犯した罪…

なんてことはない“ただ”の対話(会話)によって、人は繋がり合うことができるというを『2人のローマ教皇』は、教えてくれました。

許し合うこと

『2人のローマ教皇』は、「人はどう生きるべきか」「自らの罪とどう向き合い、またいかに赦されるのか」といった普遍的なテーマをも浮かび上がらせています。

【フランシスコ枢機卿の過ち】

イエズス会管区長時代、信者を守るために母国アルゼンチン軍事独裁政権にやむを得ず加担するが、結果的に仲間の神父や信者たちを裏切ることになった。

【ベネティクト教皇の過ち】

教会の神父による児童性的虐待の問題を把握していながら、善処しなかった。

2人は互いの過ち、過去を告白します。

人は、自分で自分を許すだけでは前に進むことはできません。

誰かに許してもらうことではじめて、人は人として生きていくことができるのだと思います。

そして、その許しを請う相手が「神」であり「宗教」であり、そして身近な「友人」なのです。

ファンタを飲んで、ピザを食べよう

とくに、印象的だったのが、ベネティクト教皇とベルゴリオ枢機卿が、朝食にピザとファンタを食べるシーンです。

「ピザとファンタ」。それは、俗世間を代表する食べ物と飲み物ですが、「そうだよな、聖職者も人間だよな、誰だって、何歳になったって、ピザとファンタは好きだよな」と、何だか無性に安心してしまいました。

ピザとファンタを頬張りながら話す2人の表情が本当に柔らかで、素晴らしいシーンでした。

友とサッカーを観よう

そして、エンディングでは、2人は別荘の一室でサッカーの観戦をしています。

2014年ワールドカップ決勝戦「ドイツVSアルゼンチン」

2人の母国同士の対決。

決勝戦の行方はいかに―

あとがき

2019年最後の最後に、Netflixから素晴らしいプレゼントが届きました。

FT

『2人のローマ教皇』を鑑賞した後、「#2019年映画ベスト10」の順位が大きく変動するのは、おそらく僕だけではないはず。