『イカとクジラ』あらすじ・感想・考察【少年たちの感情をリリカルに彩る引用】 | The Bird's Nest Hair  
【1/24】最新記事を更新

『イカとクジラ』あらすじ・感想・考察【少年たちの感情をリリカルに彩る引用】

FT

映画監督ノア・バームバックの名を一躍世界に名作、『イカとクジラ』を数年ぶりに鑑賞しました。

本記事では、『イカとクジラ』のあらすじ・感想・考察をまとめています。

『イカとクジラ』スタッフ&キャスト

『イカとクジラ』スタッフ

『イカとクジラ』スタッフ
監督ノア・バームバック
製作ウェス・アンダーソン
脚本ノア・バームバック
撮影ロバート・イェーマン
音楽ブリッタ・フィリップス

ノア・バームバック

本作でアカデミー賞脚本賞にノミネートされたノア・バームバック。彼の名は、世界中の映画ファンに一躍知れ渡ることになります。

バームバックの最新作『マリッジ・ストーリー』は、彼のキャリアで最も評価された作品として、第77回ゴールデングローブ賞では、最多6部門にノミネートされています。

『マリッジ・ストーリー』は、『イカとクジラ』と同じく離婚がテーマの作品ですが、本作とは温度や質感、色、全てが異なるので、見比べてみるのも面白いですよ。

『マリッジ・ストーリー』あらすじ・感想・ネタバレ【大袈裟なくらい話をしよう】

『イカとクジラ』キャスト

『イカとクジラ』キャスト
バーナード・バークマンジェフ・ダニエルズ
ジョーン・バークマンローラ・リニー
ウォルト・バークマンジェシー・アイゼンバーグ
フランク・バークマンオーウェン・クライン

ジェシー・アイゼンバーグ

ジェシー・アイゼンバーグがイケメンで驚きました。いや、この言い方だと、今の彼がイケメンではないように聞こえますね…。最近は、あの髪型と役柄ですっかりオタク系のイメージが定着していたので…

もちろん現在36歳のアイゼンバーグは、今でも十分に整っている容姿だと思いますが、ウォルトを演じる彼の容姿は、間違いなく、コメディ枠ではなくイケメン枠のそれです。しかし、ジェシー・アイゼンバーグが演じるのだから、当然、ただのイケメン枠のイケメン少年では終わりません。

彼の独特の早口言葉や、挙動、余裕のない雰囲気が、ウォルト・バークマンという少年を単なるイケメンではなく、どこか間の抜けた、残念なヤツにしてしまうのです。このバランス感覚が、本当に素晴らしい。


\『イカとクジラ』を無料で観る/

U-NEXTを無料体験する>>

ボタンをクリックするとU-NEXT公式HPに移動します。
無料体験キャンペーンがいつまで続くかわからないのでお早めに

*31日以内に解約すれば料金は一切かかりません

『イカとクジラ』あらすじ

ニューヨーク ブルックリンに暮らす、バーナード(父)、ジョーン(母)、ウォルト(兄)、フランク(弟)のバークマン一家は、今まさに家庭崩壊の危機を迎えていた。

いや、本当は随分前からもうダメになっていたのかもしれない。

作家のバーナード(父)は、頭が良く人よりも多くの知識を持っているが、人との接し方が上手くない。過去の栄光にすがる落ち目の作家。

同じく作家のジョーン(母)は、やや自分勝手で、おまけに浮気癖がある。現在乗りに乗っている期待の作家。

16歳、思春期真っ只中のウォルト(兄)は、拗らせ気味で、周りの人間は自分よりも馬鹿だと思っている。自意識とプライドが高い。

12歳のフランク(弟)は、自分を大人のように見せるが、本当は誰よりも繊細で心が弱い。家族に危機に最も怯えている。

とにかく、バーナード(父)とジョーン(母)が離婚した。

共同監護プログラムによって、ウォルト(兄)とフランク(弟)は、バーナード(父)とジョーン(母)の互いの住まいを行き来する、普通じゃない生活を強いられる。

火・水・金は、バーナード(父)父親の当番、という具合に。まるでゴミ出しの日のように。

多感な時期を迎えるウォルト(兄)とフランク(弟)は、様々なことに悩む。家庭のこと、性のこと…

『イカとクジラ』感想

ノア・バームバック最新作『マリッジ・ストーリー』を観た直後、彼の名前を世界に知らしめたこの名作を久しぶりに観たくなりました。

僕がこの作品を好きな理由は、ノア・バームバックの作家性や人となりを感じることができる、ロック・文学・映画からの様々な引用にあります。

過去は偉大な作家だったが今は落ち目な夫、一方、気鋭の作家として上がり調子の妻、こじらせ気味な兄と、情緒不安定な弟という家族設定も見事。

奇妙なキャラクターたちが、様々な引用を用いて物語をリリカルに彩っていく様は、おそろしく知的な悲劇であり、ウィットに富んだ喜劇でもあります。

大人は分かってくれない

本作『イカとクジラ』は、ウォルト(兄)とフランク(弟)の切実な痛みや欲求を描いた作品です。

「大人は、僕らのことなんか分かってくれやしない…。分かってくれよクソ!」という、ヒリヒリとした2人の思い、願いが「痛々しいほどに伝わってきます。

音楽で例えるなら、本作の主題歌的な役割を果たしている「ピンク・フロイド」や、バームバックと同じくニューヨーク出身の「テレヴィジョン」や「トーキングヘッズ」など思い浮かびます。プログレやニューウェイヴ、ポストパンク系の音楽と同じように、「頭の良さ」を感じさせる、そんな映画です。

自分の頭が良いことを隠さない大胆さと、まるで、神経が剥きだしになっているかのような繊細さと脆さ…

ヒステリックで余裕のない展開と、カメラワーク、音楽は、ウォルト(兄)とフランク(弟)2人の思春期の心をそっくりそのまま映し出しているかのようです。

『イカとクジラ』考察(ネタバレ含)

タイトルでもある「イカとクジラ」。これは、クライマックスでその姿をあらわす米自然史博物館にある巨大ジオラマ「イカとクジラの格闘」のことです。

監督の分身であるウォルトが6歳の頃、母親に連れられて訪れた時に目にした恐怖の対象、トラウマそのものです。

そして、この「イカとクジラ」は、すなわち、傷つけ合い別れていった父と母のメタファーでもあります。お互いの形状があやふやになるほど絡み合ったその姿は、セックスをも連想させます。ウォルトは、恋やセックスに対して奥手な少年ではなく、恋やセックスに対して恐れを抱える少年です。

『イカとクジラ』という作品は、このようなギミックやプロット、暗示、象徴、引用が何層にも重ねられています。

最高の脚本、ギミックや引用のセンス、それらがすべてが複雑に絡み合った作品こそが、『イカとクジラ』だと言えます。

あとがき

ノア・バームバック作品のその他の感想記事も書いています。

FT

もし、よろしければ是非。
『マリッジ・ストーリー』あらすじ・感想・ネタバレ【大袈裟なくらい話をしよう】 『フランシス・ハ』あらすじ・感想・意味【モノクロで描かれる一人の女性の人生】

\『イカとクジラ』を無料で観る/

U-NEXTを無料体験する>>

ボタンをクリックするとU-NEXT公式HPに移動します。
無料体験キャンペーンがいつまで続くかわからないのでお早めに

*31日以内に解約すれば料金は一切かかりません