『シェイプ・オブ・ウォーター』感想・あらすじ【デル・トロ監督がかける映画の魔法】 | The Bird's Nest Hair  
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『シェイプ・オブ・ウォーター』感想・あらすじ【デル・トロ監督がかける映画の魔法】

メキシコ人映画監督ギレルモ・デル・トロが監督・脚本・製作を担当して作り上げた『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017)は、同年のアカデミー賞「作品賞」をはじめ、全4部門を獲得。

世界中が、言葉を持たない女性と人ならざる者の恋に魅了されました。

本記事では、『シェイプ・オブ・ウォーター』のあらすじ・感想をまとめています。

FT

“映画オタク”ギレルモ・デル・トロの映画の魔法にようこそ!

『シェイプ・オブ・ウォーター』の評価

(C)2017 Twentieth Century Fox

『シェイプ・オブ・ウォーター』のレビュー
演出
(5.0)
音楽
(5.0)
ストーリー
(3.0)
キャスト
(4.0)
リピート
(5.0)
総合評価
(4.5)

第74回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門にて「金獅子賞」受賞。第75回ゴールデングローブ賞でも2部門に輝き、そして、第90回アカデミー賞では「作品賞」「監督賞」「作曲賞」「美術賞」の4部門を見事獲得。

世界が、ギレルモ・デル・トロ監督の映画の魔法に恋をしました。

演出と美術が本当に素晴らしく、象徴的なシーンでの「画の美しさ」は、まさに神がかり的。思わず息を吞みます。

全世界で高い評価を得たのもうなずける、「極上の映画」です。

『シェイプ・オブ・ウォーター』スタッフ&キャスト

(C)2017 Twentieth Century Fox

『シェイプ・オブ・ウォーター』スタッフ

スタッフ
監督ギレルモ・デル・トロ
脚本ギレルモ・デル・トロ
製作ギレルモ・デル・トロ
撮影ダン・ローストセン
音楽アレクサンドル・デスプラ

監督・脚本・製作:ギレルモ・デル・トロ

ファンタジー映画の名手ギレルモ・デル・トロに初のアカデミー賞作品賞をもたらした本作、『シェイプ・オブ・ウォーター』。

アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督(『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』『レヴェナント: 蘇えりし者』)や、アルフォンソ・キュアロン監督(『ゼロ・グラビティ』『ローマ』)らと並び、21世紀を代表するメキシコ人映画監督として知られています。

また、デル・トロ監督は日本のアニメーションや漫画、特撮、ゲームなど、あらゆるジャパニーズ・サブカルチャーに精通していることでも有名。

影響を受けた人物・作品に、押井守(『攻殻機動隊』)、円谷英二(『ウルトラシリーズ』)、永井豪、(『マジンガーZ』)、宮崎駿、高畑勲、スタジオジブリ作品、谷口ジロー(『孤独のグルメ』)などを挙げています。

『シェイプ・オブ・ウォーター』キャスト

『シェイプ・オブ・ウォーター』キャスト
イライザ・エスポジートサリー・ホーキンス
リチャード・ストリックランドマイケル・シャノン
ジャイルズリチャード・ジェンキンス
未知の生物ダグ・ジョーンズ
ロバート・ホフステトラー博士マイケル・スタールバーグ
ゼルダ・フラーオクタヴィア・スペンサー

サリー・ホーキンス

言葉を持たない(発話障がい)の女性を見事に演じて、第90回アカデミー賞助演女優賞にノミネートされたサリー・ホーキンス。

受賞こそかないませんでしたが、彼女の演技こそが、一見、荒唐無稽ともいえる本作のファンタジーにリアリティをもたらしています。

リチャード・ジェンキンス

脇を固めるのは、ベテラン俳優のリチャード・ジェンキンス。

彼も本作の演技が高く評価され、同年のアカデミー賞助演男優賞にノミネートされています。

彼のユーモアのある演技が、作品全体の風通しを良くしています。


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『シェイプ・オブ・ウォーター』あらすじ

(C)2017 Twentieth Century Fox

1962年、冷戦下のアメリカ。政府の極秘研究所で清掃員として働く女性イライザは、研究所内に密かに運び込まれた不思議な生き物を目撃する。イライザはアマゾンで神のように崇拝されていたという“彼”にすっかり心を奪われ、こっそり会いに行くように。幼少期のトラウマで声が出せないイライザだったが、“彼”とのコミュニケーションに言葉は不要で、2人は少しずつ心を通わせていく。そんな矢先、イライザは“彼”が実験の犠牲になることを知る。

映画.com

『シェイプ・オブ・ウォーター』予備知識

(C)2017 Twentieth Century Fox

①:低予算で個人的な作品

フォックス・サーチライト製作で、比較的低予算(とはいっても20億円ほど)で製作された『シェイプ・オブ・ウォーター』。

オフィスのシーンなどは、デル・トロがプロデュースしている『ストレイン』というテレビシリーズのセットを、そのまま流用するほどの低予算。

低予算、くわえて、原案、脚本、製作、監督を全てデル・トロ監督自身が一手に引き受けることで、自分の好きなことを自分の好きなように作り上げることに成功したのです。

ギレルモ・デル・トロ監督のフィルモグラフィの中でも、最も個人的な1本でありばがら、最も普遍的な評価を得たというのも面白いです。

②:デル・トロ監督の最も個人的な作品

『シェイプ・オブ・ウォーター』は、ズバリ言えば二次創作的作品です。

デル・トロ監督が6才のころにテレビで観たという、『大アマゾンの半魚人』(1954)

言わずとしれたユニバーサルモンスター映画の古典中の古典ですが、幼いデル・トロ少年は、その物語に大きな違和感と不満を持ってしまった。

『大アマゾンの半魚人』では訪れることはなかった、ヒロインと半魚人の幸せな未来の絵を、ノートの端に延々と落書きしていた少年デル・トロ。

そんなその幼きころの諸々に端を発して製作されたのが、『シェイプ・オブ・ウォーター』という作品です。

彼の映画監督としての、原点であり源。

創作衝動の奥底に立ち返ったこの映画は、ギレルモ・デル・トロ監督の最も個人的な作品です。

(『大アマゾンの半魚人』は必見です。)

③:CGではない半魚人

作品の勝負の分かれ目は、言うまでもなくモンスターの造形です。

完成に3年の月日を費やしたという半魚人のデザイン。監督の狂気ともいえるこだわりによって辿り着いた、究極的なバランス。(個人的には普通にイケメンだと思いました。半魚人)

半魚人は、CGではなく中に人が入って演じられています。演じるのはデル・トロ監督の盟友ダグ・ジョーンズ。(頭部が小さすぎる)

スーツを着用しながらの水中撮影は、体力的・精神的にも困難を極めたそうです。

CGではない造形美と、中に人が入って演じているからこその生々しさが、本作を際立って名作にしています。

さらに言えば、冒頭の水中シーンとラストの水中の二人のシーンは、CGではなく実際に撮影されたものです。

冒頭は、照明と、家具などをワイヤーで吊って、疑似的な水中空間を作り出しています。

一方ラストは、セットの中に本当に水を溜めて、リアルに水中で撮影を行っているという、冒頭シーンとは対照的な手法が用いられています。

『シェイプ・オブ・ウォーター』感想

(C)2017 Twentieth Century Fox

①:空間を巧みに使った表現力

主人公のイライザが住む部屋は、映画館のすぐ真上にあります。

そのことが、冒頭から(さり気なく)繰り返し示されるので、「あぁこれは、後で映画館で何かが起こるんだな」ということが、観客も何とかわかります。

で、起こります。映画のクライマックスに。

“彼”とイライザが、バスルームを水でいっぱいにして、抱き合い、愛し合うこの映画の最高潮のシーンともいえる、名シーン。

水は天井に染み込み、階下の映画館に水漏れとなって落ちていきます。

溢れ出た水は、言うまでもなく、二人の愛の大きさを表現しています。

デル・トロ監督の映画的空間使いの巧みさに、舌を巻きました。

②:主人公イライザの魅力

主人公イライザが、素晴らしいです。

声帯を切り取られ言葉を失い、川に捨てられ孤児院で育ち、研究所の“ただの”掃除係として変わらない毎日を過ごす日々。

社会的に成功しているとは言い難いイライザは、しかし、女性としての尊厳、美しさを捨ててはいないのです。

綺麗にした身なり、靴を磨く姿にそれが見て取れます。

おとぎ話のような、夢のような恋の訪れを夢見る乙女のイライザがとても魅力です。

③:「水の人」イライザ

平凡な毎日に現れた自分と同じマイノリティな存在の“彼”。

劇中にもありましたが、イライザと“彼”が巡り合ったのは、運命であり必然だったのです。

なぜなら、彼女は人間であり人間ではなかったから。

イライザは、ジャイルズやゼルダという理解ある友人がいながらも、しかし、自分がずっとひとりぼっちだと心のどこかで思っていた。

首に残った3本の傷(幼少時の悲惨極まりない生育環境の傷跡)。そして、言葉を持たない(声が出ない)ということ。

これら全て、“彼”…半魚人と同じなわけです。

イライザは、徹頭徹尾、人間ではなく「水の人」、「水に住むべき人」として描かれているので、「種を超えた恋愛」という大胆な設定にも、違和感や不自然は感じさせない、巧みな構成になっています。

あとがき

(C)2017 Twentieth Century Fox

イライザの遅刻癖など伏線として全く機能していない、というか回収できていないデティールの詰めの甘さも散見されますが、それを補って余りあるほどの素晴らしい演出と映像美を味わい尽くしてください。

現代の人類が抱える人種差別やマイノリティへの無理解という根源的な問題をも抱えて、一つのロマンチックな恋の物語を作り上げたギレルモ・デル・トロ監督。

彼は、この作品で映画界の頂点を極めました。

まさに、オタク界の希望の星です。(彼はオタクとしての深度が尋常ではありませんが)

タイトル『シェイプ・オブ・ウォーター』(水の形)とは、一体何を表しているのか…

僕は、『シェイプ・オブ・ウォーター』とは、「愛」だと思います。

カタチを持たない「愛」と言う感情は、しかし、人を優しく包み込むのです。