映画『沈黙 サイレンス』感想・評価【スコセッシが描く、間違っていない日本の姿】 | The Bird's Nest Hair  
【2020/03/04】New Article Update!

映画『沈黙 サイレンス』感想・評価【スコセッシが描く、間違っていない日本の姿】

17世紀の日本。徳川家三代将軍 徳川家光の厳しい切支丹(キリシタン)弾圧と重税に苦しみ喘ぎながらも神を信じる民。信仰と人名の間に苦悩するポルトガル人司祭…

世界中13か国で翻訳され、「20世紀のキリスト教文学で最も重要な小説」とまで称された戦後日本文学の代表作『沈黙』。を、世界の巨匠マーティン・スコセッシが熱望し監督を務めた傑作『沈黙 サイレンス』。

『沈黙 サイレンス』の評価


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『沈黙 サイレンス』のレビュー
演出
(5.0)
音楽
(3.0)
ストーリー
(5.0)
キャスト
(5.0)
リピート
(4.0)
総合評価
(4.5)

『沈黙 サイレンス』スタッフ&キャスト


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『沈黙 サイレンス』スタッフ

スタッフ
監督マーティン・スコセッシ
撮影ロドリゴ・プリエト
原作遠藤周作
編集セルマ・スクーンメイカー

監督:マーティン・スコセッシ

世界の巨匠マーティン・スコセッシ。彼の作品において頻出する「神への問いかけ」「宗教観」、そういった“マーティン・スコセッシ宗教観路線系フィルモグラフィ”の中でも頭一つ抜きんでて面白いのが本作『沈黙 サイレンス』。

『沈黙 サイレンス』キャスト

キャスト
セバスチャン・ロドリゴ神父アンドリュー・ガーフィールド
フランシス・ガルペ神父アダム・ドライバー
通辞浅野忠信
キチジロー窪塚洋介
井上筑後守イッセー尾形
モキチ塚本晋也
モニカ小松奈々
ジュアン加瀬亮
クリストヴァン・フェレイラ神父リーアム・ニーソン

アダムドライバー

今最も「アツい」俳優アダム・ドライバー。

本作での彼も演技は、巨匠マーティン・スコセッシは手放しで絶賛したほど。

『沈黙 サイレンス』あらすじ&概要


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遠藤周作の小説「沈黙」を、「ディパーテッド」「タクシードライバー」の巨匠マーティン・スコセッシが映画化したヒューマンドラマ。キリシタンの弾圧が行われていた江戸初期の日本に渡ってきたポルトガル人宣教師の目を通し、人間にとって大切なものか、人間の弱さとは何かを描き出した。17世紀、キリスト教が禁じられた日本で棄教したとされる師の真相を確かめるため、日本を目指す若き宣教師のロドリゴとガルペ。2人は旅の途上のマカオで出会ったキチジローという日本人を案内役に、やがて長崎へとたどり着き、厳しい弾圧を受けながら自らの信仰心と向き合っていく。スコセッシが1988年に原作を読んで以来、28年をかけて映画化にこぎつけた念願の企画で、主人公ロドリゴ役を「アメイジング・スパイダーマン」のアンドリュー・ガーフィールドが演じた。そのほか「シンドラーのリスト」のリーアム・ニーソン、「スター・ウォーズ フォースの覚醒」のアダム・ドライバーらが共演。キチジロー役の窪塚洋介をはじめ、浅野忠信、イッセー尾形、塚本晋也、小松菜奈、加瀬亮、笈田ヨシといった日本人キャストが出演する。

https://eiga.com/movie/85561/

『沈黙 サイレンス』感想


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スコセッシイズム

遠藤周作の歴史的傑作『沈黙』の原作に非常に忠実ながら、随所に光るスコセッシイズムはさすがの一言。

たとえば日本映画に捧げるオマージュの数々。

立ち込める霧の中、馬の蹄の音と共に悠々と現れる武士登場のシーンは、黒澤明による名作『七人の侍』へのオマージュであるに違いないし、そのほかにも、霧に包まれた船上のシーンは溝口健二の『雨月物語』だし…そういった具合に、スコセッシが考える日本映画の旨み、格好良いシーンが盛り込まれていて、良い。

いわゆる「宗教もの」なので、『グッドフェローズ』のような痛快なバイオレンスシーンはそれほど多くはないし、もちろん『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のようなテンションの高さもあり得ない。が、面白い。その最大の理由が次だと思う。

日本人が安心して観ることができる日本を舞台にした海外映画

これこそが本作が名作であることの最大の要因。

「日本人の目から見ても全く違和感がない、日本を舞台にした海外映画」

日本や日本人を舞台にした海外作品には、僕ら日本人の目からみると、「うん?」と思ってしまう、違和感を感じてしまうシーンが必ずと言っていいほど存在するが、本作にはそれがない。

日本人からみても極めて日本的というか、とにかく安心して観ることができる。いきなり、サムライやニンジャが登場することはない。

演技のグルーヴ

アンドリュー・ガーフィールドとアダム・ドライバーのハリウッドトップランナーによる圧巻の演技は言わずもがなだが、日本人俳優の演技だって決して負けてはいない。

言葉では表すことができない繊細な感情の機微を、眼球や表情筋の動きでのみ表現する窪塚洋介や浅野忠信の演技には思わず息を呑んでしまう。塚本晋也の、文字通り体当たりの演技は目を覆いたくなるほど痛々しく作品全体に説得力を与えているし、イッセー尾形の憎たらしい悪役っぷりも最高だ。

全キャスト渾身の演技が、冷たく静かな本作に熱いグルーヴをもたらしている。