『パターソン』あらすじ・感想【ジャームッシュ史上、最も退屈で、最も美しい物語】 | The Bird's Nest Hair  
【2020/03/04】New Article Update!

『パターソン』あらすじ・感想【ジャームッシュ史上、最も退屈で、最も美しい物語】

本記事では、「インディ映画界の帝王」、ジム・ジャームッシュが監督と脚本を務めた名作『パターソン』の感想とあらすじを紹介しています。

ジャームッシュ作品史上、最も静かで、最も退屈で、そして、最も美しい物語…

Milk

きっと、あなたにとっても大切な物語になります。

『パターソン』スタッフ&キャスト

スタッフ

『パターソン』スタッフ
監督ジム・ジャームッシュ
脚本ジム・ジャームッシュ
美術マーク・フリードバーグ
撮影フレデリック・エルムズ
音楽Sqürl(ジム・ジャームッシュ、カーター・ローガン、シェーン・ストーンバック)

監督・脚本:ジム・ジャームッシュ

「反ハリウッド」「アンチ・ドラマ主義」を貫き、「誰かのための小さな物語」を撮り続けてきたジム・ジャームッシュ監督の集大成とも言える本作、『パターソン』。

この映画で描かれるのは、アメリカの田舎町パターソンで生まれ、パターソンに住む、パターソンというバス運転手の1週間の物語です。

バスの窓に乱反射する木漏れ日のように美しく儚い、普通の日々を詩を紡ぐように映し出された物語。

そこには、過度な起承転結も、派手な演出も、一切ありません。

ただただ丁寧に、ただただ真心をもって紡がれた物語は、きっと忘れられないものになるでしょう。

『パターソン』キャスト

『パターソン』キャスト
パターソン(バス運転手)アダム・ドライバー
ローラ(パターソンの恋人)ゴルシフテ・ファラハニ
ドク(バーのマスター)バリー・シャバカ・ヘンリー
エヴェレット(恋に悩む男)ウィリアム・ジャクソン・ハーパー
日本人の詩人永瀬正敏

アダム・ドライバー

『スターウォーズ』カイロ・レン役の好演や、『マリッジストーリー』の名演でゴールデングローブ賞主演男優賞にノミネートされたことも記憶に新しい、2010年代で最もブレイクした俳優アダム・ドライバーが、本作の主人公 パターソンを演じています。

アダム・ドライバーは、アメリカ海兵隊を退役した後にジュリアード音楽院へ入学、演劇を学び俳優になったという異例の経歴を持った俳優です。

バス運転手という巨大な乗り物を巧みに操る労働者である一方、詩を書き連ねる詩人という繊細な表情も併せ持ったパターソン役は、アダム・ドライバーにうってつけの役でした。

ゴルシフテ・ファラハニ

アダム・ドライバーのパートナー役を演じたのは、イラン出身の女優、ゴルシフテ・ファラハニ。

典型的なアメリカ人であるパターソンの相手役を、同じようなコテコテのアメリカ人が演じるのは面白さに欠ける。そう考えたジャームッシュ自身がキャスティング、脚本も全てファラハ二に当て書きして出来上がったのが、ローラというキャラクターです。

イランの俳優は、イラン映画以外には出演してはいけないという暗黙の了解を破り、「ワールド・オブ・ライズ」(2008年)でレオナルド・ディカプリオと共演して以降、イランの映画界を追われることになり、現在はパリに居住して活動しているファラハニ。

劇中で様々なことにチャレンジするローラですが、彼女を演じたファラハ二自身も多才な人物で、役者以外では、ピアニストとしても広く知られています。

役柄と役者のパーソナルが、見事にオーバーラップしています。

永瀬正敏

1989年の『ミステリー・トレイン』で主演を務めて以降、ジム・ジャームッシュ作品には、二度目の出演となる永瀬正敏。

パターソン(土地)に実在する滝に「日本」を感じたジャームッシュが、永瀬に出演をオファー。

作品にラストに登場する、日本から訪れた詩人という重要な役どころを演じます。

脚本は、永瀬に当て書きされたものです。


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『パターソン』あらすじ

月曜日の朝。

時計の針は、6時10分を少し過ぎた時間を指している。

彼、パターソンの特技は、目覚まし時計をかけずに目を覚ますことができること。

横を見ると、愛しい恋人の寝顔。

「君が寝てる姿が好きなんだ。なぜなら君はとても美しいのにそれに全く気がついていないから。」

なんて、キザな言葉を囁きたくなるくらいに、ローラの寝顔は美しい。

リビングに向かい、シリアルを食べ、着替えて、そして、家を出て仕事場へ向かう。

パターソンは、パターソン市営バスの運転手だった。

パターソンには趣味があった。

それは、詩を書くこと。

我が家にはたくさんのマッチがある
常に手元に置いている
今のお気に入りはオハイオ・ブルーチップ
昔はダイアモンド印だった
オハイオ・ブルーチップを見つける前だ
素晴らしいパッケージで、頑丈な
小さな箱は、濃淡の青に白いラベル
言葉がメガホン型に書かれている
まるで世界に向かって叫んでいるようだ
「これが世界で一番美しいマッチだ
1.5インチの柔らかな松材の軸に頭に
ざらざらした暗紫色の火薬、厳粛に激しく、
頑固に備え、勢いよく燃える
恐らく、初めて愛する女性の煙草に
火を点けたなら、何かが変わる
そんなすべてを与えよう」
君は私にくれた、私は
煙草になり、君はマッチになった、或いは
私がマッチで、君は煙草、キスで
燃え上がり、天国に向かってくすぶる

彼は、秘密のノートブックに詩を書き溜め、今日もまたバスを走らせる。

仕事が終わり家に帰り、愛しの恋人と夕食や他愛のない話を楽しむ。

決して贅沢とは言えないが、楽しいひと時。

夜には、愛犬マーヴィンの散歩がてら、行きつけのバーで一杯のビールを飲む。

ここまでが、パターソンの日課。いつもの日常。

一日が終わる。

火曜日の朝。

時計の針は、6時10分を少し過ぎた時間を指している。

彼、パターソンの特技は、目覚まし時計をかけずに目を覚ますことができること…

『パターソン』感想

この映画では、凶悪な連続殺人犯も、世界を滅ぼそうとする宇宙人の侵略も登場しません。もちろん、巨悪と戦う無敵のスパイや兵士も、スーパーヒーローも登場しません。人類の叡知を結集した未来の兵器も、ビームも登場しません。爆発も起きません。

本作は、パターソン(主人公)の世界(日常)に起こる繊細な変化、瞬きすれば見逃してしまうほどの些細な変化を描いた、わたしの、あなたの、日々を生きる全ての人への物語です。

1980年の『パーマネント・バケーション』でデビューして長編でニューをして以降、ジム・ジャームッシュ、は何でも日常、静かな幸せ、小さな物語を常に描いてきた映画監督です。

それは、「巨匠」と称される今でも変わりません。「インディーズ映画界の帝王」と呼ばれるようになった現在でも、反ハリウッドの姿勢を貫き、アンチ・ドラマ主義を心情に、人々の日常に寄り添う小さな物語を撮り続けています。

本作『パターソン』は、そんなジム・ジャームッシュ監督の哲学や思いがすべて結実した、彼の集大成とも呼べる作品です。

Milk

とにかく、僕はこの作品が大好きです。うまく説明はできませんが、とにかく大好きです。

パターソンの1週間を描いた「何でもない物語」。

同じようで同じじゃない些細な日常は、注意深く観察すれば、じつは奇跡のように美しいことを、パターソンは知っています。

そして、パターソンは教えてくれます。

日常は素晴らしいということを。

繰り返す日常(毎日は同じじゃない)

ワンシーン、ワンシーンがまるで美しい詩。他愛のない、ありふれた風景のはずなのに、どうしようもなく美しく、涙が出るほどに尊い、日常。

ジム・ジャームッシュ監督自身が「詩を形にした映画」とまで称した本作『パターソン』、最大の特徴は、人間なら誰もが持っている、「日常のルーティン」の心地よさにあります。

同じテンポで刻まれる日常のリズム、しかし、同じ日は一日たりとも存在しないという事実を、優しく、心地よく教えてくれます。

  • パターソンとローラの寝相
  • パターソンの起床の時刻
  • バスの車庫長との会話
  • バスの乗客の会話
  • 帰宅時の郵便受けのチェック
  • 毎日、異なることにチャレンジする妻
  • 愛犬マーヴィンを連れての毎晩の散歩
  • 散歩の途中に立ち寄るバーのオーナーとの会話

パターソンの日常、月曜日から金曜日までの繰り返しの日常ですが、月曜日と火曜日では、二人の寝相が違ったり、火曜日と水曜日では、乗客の会話も夜の散歩中に出会う人物も、バーでの会話も異なります。

決して大きくはない些細な変化、しかし、観客である僕たちは、パターソンの日常のほんの少しの変化を、いつの間にか心待ちにして観ているのです。まるで、変化に気づいたのは自分だけだというように。

5組の双子

また、本作のアクセントとして、劇中には5組の双子が登場します。

  • 通勤途上に見かける双子の老人
  • バーで出会う双子の青年
  • バスに乗る双子の少女
  • バスに乗る双子の女性
  • 詩を書く少女(双子のひとり)

当初は、5組の双子が登場するという脚本ではありませんでしたが、たまたまエキストラの中にいた双子を見つけたジャームッシュが、脚本を書き換えたそうです。

ローラが双子を授かる夢をみて、そのことをパターソンに話す。その後、月曜日から金曜日にかけて、一日ずつ違う双子がパターソンの日常に登場するという流れになっています。

双子の存在に重要性はありませんが、彼ら彼女らの存在は、『パターソン』という作品がパターソンの日常を追った単なる「ドキュメンタリー(ノンフィクション)」に陥ることを防ぎ、あくまで「映画(フィクション)」であるということを示しています。

パターソンとローラの関係性

パターソン

パターソンは、自分の決められた日常、繰り返されるルーティンを散歩するように日々を生きることを好む、どちらと言えば保守的で内省的な人物です。

そんな彼は、日々の些細な変化に幸せを見つけることができる人物で、乗客の会話、夕食…少しの違いから詩を創作します。

ローラ

一方、恋人のローラは、パターソンとは対照的な人物として描かれています。

ギター、洋服やインテリアのデザイン、創作料理、ギター、週末バザーでのカップケーキ販売…

日々新しいことにチャレンジするアグレッシブな姿が、全編を通して描かれています。

対照的な二人

日常の生活における繊細で些細な変化を描く本作は、ともすれば、単調で観るに堪えない退屈な作品になり得る要素を秘めています。そんな作品において、ローラのキャラクターは、いい意味で「異物」。作品をグイグイと引っ張る、強力なパワーがあります。

パターソンとローラ、対照的な二人だからこそ、日々の生活に鮮やかなコントラストが生まれ、「何でもない日常」が特別な光を放つのです。

様々なことに果敢にチャレンジするローラの姿を、愛おしそうに見つめるパターソンの姿がとても印象的です。

パターソンにとってローラは、「日々を完成させる最後の1ピース」ではなく、「日々を生きるための最初の1ピース」なのです。

あとがき

ジム・ジャームッシュ監督の紡ぎだす世界、物語が大好きなので彼の作品は全て鑑賞していますが、最も好きな作品が、この『パターソン』です。

2020年公開の新作『ザ・デッド・ドント・ダイ』も、とても楽しみです。


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