Jack Whiteのライブをイギリスで観た【ライブレポ】 | thedeeprivers

Jack Whiteのライブをイギリスで観た【ライブレポ】

ジャック・ホワイトのライブには、彼のライブには、セットリストがない。

知ってはいましたが、やはり聞くと見るでは大違いというか、百聞は一見にしかずというか、

「次はこの曲を演るよ。」と、ジャックが曲の終わりにバンドメンバーに囁き伝えている様子が幾度となくありました。ライブの途中に次の展開を伝えるなんて、普通はあり得ません。

ホワイトストライプス時代からセットリストを作らないことを徹底していたジャック・ホワイト。

しかし、ホワイトストライプスは2人組。しかもメンバーのメグは元妻(設定上は兄弟)ということで、阿吽の呼吸でなんとかなったかもしれませんが、現在ジャックが引き連れているバンドメンバーは4名。

メンバーすら、次何の曲を演るか分からない。ジャックの一挙手一投足を見逃さず全身全霊でプレイする4名。

その瞬間、瞬発的にライブを組み立てていく様は綱渡りのようで、とてもスリリング。

ちなみに僕が参加した2日間のライブのセットリストです。

【10月17日 Jack White Setlist at O2 Academy, Birmingham, England】

【10月18日 Jack White Setlist at Bonus Arena, Kingston upon Hull, England】

順番はもちろん曲もかなり変えてきてますね。
(この記事では1日目を軸にして書いています。)

JACK WHITE<ジャック・ホワイト>のライブを観て

ジャック・ホワイト、天才の美意識

サポートのアクト『Demob Happy』のライブが終了しステージの転換作業。

本来ならTシャツや、とにかく動きやすいラフな格好をしたローディーやスタッフがこの作業を行いますが、そこはジャック・ホワイト。抜かりがありません。

転換作業を行なっていたのは、おそらくジャック主宰サードマンレコーズのスタッフと思わしき方々。驚いたのはその服装。

全員、黒スーツにハット。ジャックホワイトのソロ活動を象徴する色『青』のネクタイもキュッと締めています。

パッと見アメリカ映画に出てきそうなマフィアのような、マイケルジャクソンのバックダンサーのような、こんな姿でステージ上で作業されてしまったら、ジャック・ホワイトのライブへの期待度はさらに上がります。

そしてジャック・ホワイトのステージに対する美意識、拘りが徹底されていることに感動しました。

ジャックホワイトの活動にはイメージカラーがあります。

ホワイトストライプスでは『赤・白・黒』

ラカンターズでは『銅』

そしてジャック・ホワイトのソロ活動では『青・白・黒』

と、いった具合に。

今回のライブでは照明はもちろん『青』、ギターも『青』を主色にカスタムしたもの多数、驚いたのがステージ上でコードを貼り付けるガムテープまでもが『青』色!
どこまで、徹底してるのか…。

そんなジャック・ホワイトの徹底したこだわりのステージを照らす『青』の照明が落ち、いよいよバンドメンバーが登場。

怒涛アンド怒涛アンド怒涛

開幕と同時に怒涛のバンドセッションを繰り広げる腕利きのミュージシャン4名。

そしていよいよ、ジャック・ホワイトの登場

登場からすごかった

まず、登場から凄まじかった。

鬼のような形相でステージに現れたジャック・ホワイト 。ドラムのCarla Azarをこれでもかと煽り倒し、ギターを手にしてバンドセッションに突入。

あの落雷のようなギターサウンドが観客の身体を芯から揺さぶる。ヤバい。

嵐のようなバンドセッション終了とともに一瞬だけ訪れる静けさ。嵐の前の静けさ。

その無音を切り裂くように鳴らされる『Over and Over and Over』のギターリフ。

1曲目がこれだとわかっていても昇天しそうになりましたよ。だってもうカッコよすぎる。

何が起こったのか分からない

続く、ホワイトストライプス時代の名曲にして現在でもライブの定番曲『When I Hear My Name』と、最新作からのとんでもなくクールなインスト曲『Corporation』の連続投下で一気にフルスロットルのトップギア。爆発的加速で鬼気迫るステージング。

しかし4曲目『Why Walk a Dog?』では、トップギアから一転、一気に徒歩並みのスピードに減速。
『Why Walk a Dog?』の儚さがより際立ちます。こんな演出をその場で組み立てるというのだから恐ろしい話です。

そして、初日公演で最も驚いたのがソロ2作目に収録されている『Just One Drink』

大好きな曲なので演ってくれただけでも飛び上がるほど嬉しかったですが、ホワイトストライプスの名曲『Screwdriver』と最新作収録の『What’s Done Is Done』に挟まれるようにして(おそらくジャックの完全アドリブ)で曲のつなぎ目なく披露されたのが、あまりにも自然で、あまりにもクールで、観客は一瞬何が起きたのか分からないような状態に陥っていました。

『Screwdriver』からの『Just One Drink』って、曲名を文字にしてみるだけでもあまりにも綺麗な流れですよね。

本編16曲。
気がつけば別の曲が始まっていたり、気がつけば曲が終わっていたり…
いったいいつの間に?!という瞬間、場面が多くありました。

アンコール、というよりもライブ後半

『I Cut Like a Buffalo』で本編は一旦幕を閉じステージを去るジャックとそれに続くメンバー。

観客の雄たけびのような『Seven Nation Army』の大合唱に応えるようにして時間を空けずにステージに戻ってくる5人。

アンコールというよりは本編後半の始まりといった感じで、再び轟音のバンドセッションとともに後半戦へ。

後半はホワイトストライプス最後のアルバム『Icky Thump』からタイトル曲の『Icky Thump』。

ジャックはこの日はじめてステージ上の台に登り観客に手拍子やシンガロングを求めていました。

もちろん観客側もそれに全力で応えます。

さらにギアをもう一段階上げるかのようにランカンターズの大名曲『Steady, as She Goes』を畳み掛けるジャック・ホワイト。分かっちゃいたけどめちゃくちゃライブ映えする曲、カッコよすぎる。

続いて披露された『You’ve Got Her in Your Pocket』は、ほぼジャックホワイトの独唱。
『Steady, as She Goes』の疾走感しかないステージングからの一転、急ブレーキ。
動から静。この緩急、チェンジオブスピードがライブをより鮮やかに、より鮮明なものにします。
とてもロマンチックなひととき。

恍惚とした観客に「あと2曲だよ」、と無情にも突きつけられ現実。

そう、ライブはいよいよ残すところあと2曲。

『Connected by Love』で、ステージ上からはけたメンバーが再び集結し演奏されるのは、ジャックが最新作『Boarding House Reach 』とこのツアーで最も伝えたかった曲、最も伝えかったこと『Connected by Love』。

全身全霊をかけて歌い、ギターを弾くジャック・ホワイト 。こちらも全力で聴き入ります。

『Connected by Love』の演奏が終わり、ジャックがボロボロの“あの”ギターに持ち替えます。
そう、最後はもちろんこの曲。

ロシアW杯のスタジアムで、世界中のスポーツバーやパブで、お茶の間で流れ続けた21世紀最高のロックアンセム『Seven Nation Army』。

待ってましたとばかりに観客大合唱。

そんな光景に思わず微笑むジャック。この人笑ったら本当にチャーミングだなと、思いました。

あぁ、なんて幸せな空間なんだろう。

ジャックは再び頬を引き締めクールな表情であのリフを炸裂させます。

最後まで全身全霊、ステージに命をかけるかのような、魂を燃やすような、ジャック・ホワイトのステージ。

スリリングでダイナミック、ロックコンサートの魅力が、本来の形が、全て詰まっていました。

あとがき

やはり携帯電話禁止というのが上手く機能していたように思います。

ジャック・ホワイトが近々敢行するツアーで、観客のスマホ持ち込みを禁止した。会場が一丸となってその場の経験を味わうためとして、携帯を保管するための特別な袋が観客に配られるという。

「電子機器から少しの間、目を離して顔をあげ、音楽とそれに対する共通の愛情を肌で感じることを皆さんに楽しんでもらえると思うのです。会場に到着した際、携帯電話やその他の撮影、録画機器は全て所定のポーチに収めてください。それはショーの終了時に開錠されます。ショーの開催中はそのポーチ内に保管された状態でお持ちください。使用が必要になった際はロビーとコンコースに設置されている指定エリアにていつでも開錠することができます」。

「電話を気にしない、100パーセント人間のみの経験をその場ではお楽しみください」

VOGUE JAPAN

本当に上に記載されている通りで観客は入場時、YONDRというポーチにスマホを入れることを徹底されます。このYONDRというポーチは特別な装置を持つ係員以外は開けることができない仕組みです。

つまり、所定の場所にいる係員に開けてもらうか、退場時に出口で開けてもらう以外、観客が会場でスマホを操作することは一切できません。

誰かが誰かのスマホの画面に邪魔されることなく、観客全員でステージを凝視する。歌う、踊る、笑う、泣く。

当たり前のことだったはずが当たり前でなくなってしまった2010年代。

ジャック・ホワイトはロックコンサートにとっての当たり前を、その素晴らしさを、改めて教えてくれました。

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