『マリッジ・ストーリー』あらすじ・感想・ネタバレ【大袈裟なくらい話をしよう】 | The Bird's Nest Hair  
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『マリッジ・ストーリー』あらすじ・感想・ネタバレ【大袈裟なくらい話をしよう】

アダム・ドライバーとスカーレット・ヨハンソンの豪華共演、そして、アカデミー賞ノミネート経験もあるノア・バームバックが監督・脚本・制作を手掛たことでも大きな注目を集めているNetflix映画『マリッジ・ストーリー』。

12月6日からNetflix独占配信がスタートしています。

本記事では、あらすじや感想をまとめています。

『マリッジ・ストーリー』スタッフ&キャスト

Netflix映画「マリッジ・ストーリー」

『マリッジ・ストーリー』スタッフ

『マリッジ・ストーリー』スタッフ
監督ノア・バームバック
製作ノア・バームバック
脚本ノア・バームバック
撮影ロビー・ライアン
音楽ランディ・ニューマン

ノア・バームバック

2005年公開の『イカとクジラ』でアカデミー賞脚本賞にノミネートされたノア・バームバック。その後も監督・脚本を務めた作品は、常に高い評価を得ています。

そして、本作『マリッジ・ストーリー』は、バームバックのフィルモグラフィの中でも最も高い評価を獲得しています。

アカデミー賞の前哨戦、第77回ゴールデングローブ賞では、作品賞(ドラマ)、男優賞(ドラマ)、女優賞(ドラマ)、助演女優賞、脚本賞、音楽賞の最多6部門にノミネートされています。

プライベートでは、女優や映画監督として著名なグレタ・ガーウィグと交際していて、現在は、新作の脚本を共同で執筆しているそうです。

ランディ・ニューマン

『トイストーリー』シリーズなど多くのディズニー・ピクサー作品の音楽を手掛け、アカデミー賞やエミー賞の常連でもある名音楽家、ランディ・ニューマンが本作でも音楽を担当しています。

本作で、(もう何度目か分からない)ゴールデングローブ賞にノミネートされています。

『マリッジ・ストーリー』キャスト

『マリッジ・ストーリー』キャスト
チャーリーアダム・ドライバ―
ニコールスカーレット・ヨハンソン
ヘンリーアジー・ロバートソン
ノーラ・ファンショーローラ・ダーン

アダム・ドライバー

『スターウォーズ』シリーズのカイロ・エン役としても有名なアダム・ドライバーが、夫のチャーリー役を熱演。

カイロ・エンの悪役としての演技ももちろん素晴らしいですが、ドライバーは「何でもない普通の役」でこそ、最も輝き、才能を発揮する役者だと思います。

本作のチャーリーや、ジム・ジャームッシュ監督作『パターソン』のパターソン役(主演)では、それはそれは、素晴らしい演技をみせてくれます。

スカーレット・ヨハンソン

マーベル・コミックの大作主演映画『ブラック・ウィドウ』が2020年に控えている、スカーレット・ヨハンソン。

彼女もアダム・ドライバーと同じように、超人ではなく常人を演じてこそ光り輝く女優だと思います。そう、本作のニコール役のように。

『マリッジ・ストーリー』あらすじ

Netflix映画「マリッジ・ストーリー」

夫のチャーリーは、才能あふれる舞台監督。妻ニコールは、夫の舞台の看板女優。2人の子どもの名前はヘンリー、8歳の男の子。

ニューヨークで暮らす3人の家族。才能と子どもに恵まれた彼らは、理想の家族のはずだった。

しかし、いつしか2人の心は、まるでニューヨークとロサンゼルスほど遠くに離れてしまい、やがて、離婚を決意するほどに。

円満な協議離婚を求める2人だったが、これまでの互いの恨み不満がどろどろに腐った膿のように噴出、代理弁護士を雇い裁判にまでなってしまう。

互いの本音を怒鳴り合うチャーリーとニコール、そこで2人は、初めて相手が思っていたこと、悩んでいたことを知る…。

『マリッジ・ストーリー』ネタバレ

Netflix映画「マリッジ・ストーリー」

結局、2人は離婚します。

互いの本音に気づけてよかったよかった、めでたしめでたし。じゃあ、離婚訴訟は解消ね。とは、いきません。

全ては、遅すぎたのです。

チャーリーが舞台監督を務める劇団「エグジット・ゴースト」はブロードウェイ進出、一方、ニコールは故郷ロサンゼルスでテレビや女優としての再スタートを切ることに。このことはすでに、両者合意の決定実行。

2人の目下の心配事は、1人息子のヘンリー。ニューヨーク、ロサンゼルス、どちらに住まわすのか、つまり、どちらが親として面倒を見るのか。

ロサンゼルスで帰ってきたニコールを待っていたのは、華々しい芸能界ではなく、何だかよくわからない仕事ばかり。実家に帰れば口うるさい母親。

不満が積もるニコールは、離婚のことを弁護士に相談してしまいます、ほんの成り行きで。しかし、その女性弁護士ノーラが親身になって話を聞いてくれるのです。はじめて悩みを打ち明けることができたニコールは、彼女に離婚の代理弁護を依頼します。

ニコールが弁護士を立てることなど全く想像していなかったチャーリーはー、「悪夢のようだ」と、激しく動揺します。

しかもどうやら、自分はだいぶ不利だと…財産も子どもも、全て失ってしまうかもしれないと、焦ります。

なんとか弁護士を雇い、裁判のためにロサンゼルスにアパートまで借りたチャーリー(裁判はロサンゼルスで行われる)。

「負けず嫌い」なことが唯一の共通点であるチャーリーとニコールの離婚協定は、2人の想像を大きく超えて互いを傷つけることになります。

しかし、今さら後には引き返せないのです。やめることはできない、終わらせることしかできない。

お互いの本音を知った2人は、和解的に離婚する道を選びました。

これが果たして良かったのか、向かう先は幸せか。それは分かりません。

それは、これからのチャーリーとニコール次第なのです。

『マリッジ・ストーリー』ニコールとチャーリー(男と女)

ニコール

Netflix映画「マリッジ・ストーリー」

生きていることを実感できる、自分だけの場所を追い求めていたニコール。

ニューヨークで過ごした10年間の月日、それは、彼女にとって彼女が埋もれるだけの生活だったのかもしれません。

自分とは逆に有名になっていく夫。自分は、昔、映画に出演していた人、過去の人になっていく自分…

夫のアパート、夫の好みの家具、インテリア…夫の好みで彩られた生活。自分の好みは、忘れていた…

そんなとき、彼女に舞い込んだ仕事の依頼。夫ではなく、自分に。

それは、自分の、自分自身の仕事を切望していたニコールにとっての、命綱でした。

ロサンゼルスでのテレビの撮影、それが、きっかけになってしまったのです。

チャーリー

Netflix映画「マリッジ・ストーリー」

結婚の経験はありませんが、僕は男なので、やはりチャーリーの気持ちの方が理解できるし、感情移入してしまいます。

男性は、安心してしまうのです。

自分の幸せを、相手も同じように幸せに思っていてくれいる、と。

相手が自分から離れていくことはない、と。

相手のことをよく見ることも、よく考えることもせず、ついつい安心してしまう生き物です。

チャーリーも、まさにそういう男として描かれています。

彼がニコールの本音に気づいてさえいれば、今回の離婚は起こりませんでした。

劇団は有名になり、遂にはブロードウェイ公演も決定した。看板女優の妻にはもちろん感謝している。

もちろん、妻も自分と同じように劇団の成功を幸せに思っている。なんの疑いもなくそう思っている。

妻が抱える闇を考えることもなく…。

『マリッジ・ストーリー』感想

Netflix映画「マリッジ・ストーリー」

国民の幸福度が高いと言われる北欧諸国では、離婚率が高い傾向にあるそうです。

(しかし、満足度と離婚率に必ずしも直接的な因果関係はなく、単に「離婚=幸福」ではないと、ありますが。)

幸福度と直接関係にあるのは「ジェンダー・ギャップ」。「ジェンダーギャップ」が広がれば広がるほど幸福度は下がり、逆に縮まれば縮まるほど、幸福度が上がる傾向にあるのだそうです。

「男女平等ランキング」において、北欧のアイスランドが1位。そのほか、ノルウェーやフィンランドも上位にラインクイン。一方、日本は114位。(世界経済フォーラム/2017年発表)

ジェンダーギャップが少ないということはつまり、女性が経済的に独立をしているということです。

離婚しても女性が一人で自立してきて生ける環境がある、それこそが幸福につながるのだそう。

本作『マリッジ・ストーリー』のニコールも、自分だけの仕事・場所、独立(自立)を求めていました。

夫のチャーリーがそのことに気づかなかったことで、二人は離婚してしまいます。

上の参考記事では、「離婚は幸せになろうと努力している証拠」とありますが、それはこの二人の物語には当てはまりません。

幸せになるために離婚した、なるべくしてそうなったというよりは、後戻りができなくなってしまったという感じで、本心では二人とも離婚を望んではいません。

話しをしよう、相手を知ろう

僕は結婚の経験がないので当然離婚の経験もありませんが、望まない別れ方をしたことはあります。

直接的な原因は、「相手の気持ちを理解していなかったこと」これに尽きます。

チャーリーがニコールの気持ちを理解していなかったように…

チャーリーがニコールに、気持ちを理解した言葉を一言も言わなかったように…

どれだけの数の「望まない別れ」が、この世界には存在するのか、そのほとんどが「話をすること」で解決できるはずなのに…

大切な人と話をしよう。自分の気持ちを声にだそう。悲惨な物語が生まれないように。

『マリッジ・ストーリー』を観て、そう、思いました。

誰もが感情移入できる物語

たとえ結婚したことがなくても、誰かを心から愛した経験がある人は(そして、その恋が終わりを迎えてしまった経験がある人は、とくに)チャーリーとニコールの物語を、他人事として観ることはできないでしょう。

男性はチャーリーの視点になって、女性はニコールの視点で二人の物語を辿ることになります。

『マリッジ・ストーリー』が今、世界で絶賛されていることは、この世界に意外にも愛が溢れていることの証明だと思います。

作家性の強い作品(メタ的要素)

作品のラストシーン、ニコールは、映画監督としてエミー賞の候補にされ、(彼女が願っていた)自立した女性になったことが描かれています。

少し、いや、かなり穿った見方をすれば、このシーンには、本作の監督、ノア・バームバック監督自身のプライベートを連想してしまいます。

バームバック監督の交際相手グレタ・ガーウィグは、俳優や映画監督など、様々なキャリアをもつ女性です。

ガーウィグは、自身が監督・脚本を手掛けた2018年公開の『レディ・バード』で、見事にアカデミー監督賞と脚本賞にダブルノミネートされています。

このとき、バームバック監督の心境はどのようなものだったのでしょうか?

彼女の成功を心から祝福したのか、そこには嫉妬などの醜い感情は存在しなかったのか…

そういったことも考えてしまいます。

『マリッジ・ストーリー』は、ジム・バームバック監督の人生観や彼自身のこれまでの人生を最も色濃く反映した、これまでで最も作家性の強い作品です。

作家性の強い作品って良いですよね。

あとがき

Netflix映画「マリッジ・ストーリー」

男性か女性か…性別によって、鑑賞後の感想が大きく異なる作品です。

FT

是非ご夫婦で、是非カップルで、一緒に鑑賞してほしい作品です。