カネコアヤノのライブをはじめて観た、2019年12月14日。(あ・ぱーふぇくとでい) | The Bird's Nest Hair  
【2020/03/04】New Article Update!

カネコアヤノのライブをはじめて観た、2019年12月14日。(あ・ぱーふぇくとでい)

カネコアヤノのライブに行ってきました。

カネコアヤノの存在と歌は、今年になって初めて知りました。

カネコアヤノを知った2019年、カネコアヤノの歌と出会った2019年、2019年中にカネコアヤノの歌声を生で聴くことができて、本当によかった。

本記事は、ライブレポというよりは独りよがりの感想です。瞬発力だけで書いてます。しかも、お酒飲んで書いてます。めちゃくちゃです。

2019年12月14日

純喫茶「オリンピア」

少し早く着いてしまった。

開場:19:00

開演:19:30

現在:17:30

ライブまであと2時間。開場時間まであと1時間半。

こんな中途半端な時間じゃ映画も観れやしない。さて、どうしよう。

それはそうと、今日の会場、梅田シャングリラ付近は近年再開発が進められている。梅田の中心エリアとこちら側の北区大淀を隔てる大河のような線路は、数年後には地下を走ることになるという。

対岸沿いに見える梅田の超高層ビル群…それらが地続きになって、ビルはさらにいっぱい建って、きっと、この場所から見える景色も一変するんだろう。

などと物思いにふけりながら辺りをふらついていると、一軒の喫茶店が目に入った。

再開発が盛んなこの土地で、まるで時代に取り残されような、昭和を引きずったままの趣と佇まい。

良い。

ここで時間を潰そう。

扉を開けて、店へと入る。

店内には、気難しそうなマスターが一人だけ。

取りあえずホットコーヒーを注文する。

それにしても本当に良いお店だ。

彩りに満ちた幸せな絵が飾ってあったり(あとで聞くと小学生のお孫さんが描いたそう)、(おそらく)店主ご夫婦の写真が飾ってあったり、昭和○○年の感謝状があったり…

とても良い。店主の人生が詰まった素敵なお店だ。人の営み。その人が感じられる店に悪い店はない。

数分後、マスターがコーヒーを持ってきてくれた。

モーニングの残りだといって、ゆで卵も一緒に持ってきてくれた。

ほら、やっぱり良いお店だ。

聞けばこのお店は、今年で49年目を迎えるらしい。

今年77歳になるというマスターが、煙草をふかしながら教えてくれた。

「でも来年で畳むねん。ちょうどオリンピックやし。」

…ちょうどの意味は分からないが(ちょうどと言うなら、創業からちょうど50年だから。ではないのか。)マスターはそういって缶ビールを飲んだ。

煙草と酒。創業49年の純喫茶。77歳のマスター。

とても良い。なんだか泣きそうになる。

マスターと色々話していると、時刻は18:50になっていた。

そろそろ会場に行こう。

また、必ず来る約束をして店を後にした。

最後までマスターは煙草を吸っていた。

梅田シャングリラ

梅田シャングリラの雰囲気が好きだ。

埃をかぶったシャンデリア、深紅のカーテン、客席に設けられたバーカウンター…

映画の中の世界のような…

多かれ少なかれ、現実からひと時逃れるためにライブハウスに足を運ぶ。みんな、きっと。

この日を楽しみにして、どうにかこうにか現実をやり過ごす。とても素敵なことだと思う。

SEで流れる曲をShazamで拾ったりしながら、ぼんやりとそんなことを考える。

時刻は定刻を迎える。

2019年12月14日のカネコアヤノ

光そのものような声

カネコアヤノのライブをはじめてみた第一の感想は、「声」だ。

彼女の声が素晴らしいことは音源で知っていたつもりだったが、全然違った。つもりだっただけだ。

音源は、彼女の声を、全く捉えきれてはいなかった。

どこまでも突き抜けるカネコアヤノの声は、まるで光のようだ。彼女の歌声はきっと、1秒間に地球8周はしてしまう。

人間の塊のような感情

素晴らしかった、本当に素晴らしかった、素晴らしいことはわかっていたけど、まさかここまで素晴らしいとは思ってなかった。

実際に見るカネコアヤノは、思っていたよりも小さくて思っていたよりも細かった。

こんな華奢な身体から、あんな人間の塊のようなむき出しの感情が歌われることが、ただただ信じられなかった。

観客の心を揺さぶるとか、観客の魂に響くとか、そんなんじゃなくて…

カネコアヤノの心が激しく激しく振動するから、観客の心もそれに共振して高鳴るような…

そういう、感情の伝播のようなものだと思った。、カネコアヤノのライブは。

少女のように純粋で、少年のように無邪気。恋する乙女のようにロマンチックで、恋する男子のように自分勝手。

宝物のような感情

カネコアヤノの歌からは、人間の営みのような、生活そのものの匂いがする。

それは、まるで、創業49年を迎える喫茶店によく似ている。

壁に染みついてとれない煙草のヤニのような、こびりついて消えない人間の匂い。

人が生きていることの証、痕跡、鼓動、足跡、息遣い…

カネコアヤノの歌には、大切にしたい、でも恥ずかしくてだれにも見られたくない感情が全部、詰まっている。宝箱にそっと閉まっておきたい、宝石のような感情が詰まってる。

カネコアヤノの歌を聴いていると「あぁ、これは自分のために歌われた歌だ。」と、思う瞬間が、たしかにある。

自分ことを歌っているようにも感じるし、今、自分が一番必要としている言葉を、そっと差し出されたようにも感じる。

だから、カネコアヤノの歌を聴くと泣いてしまう。

カネコアヤノバンド

バンドも素晴らしかった。

予備知識ゼロで足を運んだので、まさか、音源通りのメンバーが、ライブでもバンドを務めているとは思ってもいなかった。嬉しい誤算。

林宏敏(Gt / ex.踊ってばかりの国)、本村拓磨(Ba / Gateballers)、Bob(Dr / HAPPY)

今の日本のライブシーンを代表する凄腕、一流ミュージシャンの集い。

特に「踊ってばかりの国」は、以前から大好きなので、林宏敏のギターを生で聴けた感動はデカい。たしかに、彼の歌うようなギターは、カネコアヤノの音楽にこの上なく合うし、ライブでこそその純度はさらに増す。

音楽そのもののような人たちが、心から音楽を演っている。

これほど素晴らしい夜はない。

2019年12月14日の梅田シャングリラは、きっと、世界で一番幸せな場所だった。

あとがき

驚くことに、カネコアヤノのライブにはMCが一切なかった。1時間以上もあるライブでただの一度もなかった。

始めから最後までノンストップで歌いっぱなし。ゴリゴリのロックバンドのライブでも、MCをひとつも挟まないなんて、普通はあり得ない。(少なくとも僕が良くライブでは、多少なりともMCはある。)

「歌に全て込めてるから!」

そんなカネコアヤノの気持ちが聞こえたような気がした。

「私のために歌ってるんだ」ってみんなに思ってもらえたらと思う。「あなたに歌ってるよ」って言い切れるので、私は。

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