『ジョーカー』の元ネタになった(影響を受けた)名作映画7選【映画は知れば100倍面白い】 | The Bird's Nest Hair  

『ジョーカー』の元ネタになった(影響を受けた)名作映画7選【映画は知れば100倍面白い】

FT

『ジョーカー』ご覧になりましたか?

いやぁ…えげつなく素晴らしい映画でしたね。リアルタイムで観た映画作品の中で断トツの1位でした。『ジョーカー』を観た後ではもう、『ジョーカー』を知らない自分が想像できないというか…。とんでもない映画に出会ってしまいました。


当記事では『ジョーカー』の元ネタになった、あるいは影響を受けたであろう名作をまとめました。
特に『タクシードライバー』と『キング・オブ・コメディ』は、トッド・フィリップス監督自身も公言しているので、もし観たことが無い方は是非、この機会にご鑑賞ください。

映画から映画に繋がる。これこそ映画の醍醐味ではないでしょうか?

*当記事は『ジョーカー』をすでに鑑賞した人向けです。

『ジョーカー』を観てもっと作品を掘り下げたい!そう思った方にはピッタリの記事だと思います。

『ジョーカー』の元ネタになった名作映画7選

1.『タクシードライバー』

Moviestore Collection/AFLO

大都会・ニューヨークを舞台に、うっ屈した生活を送る1人のタクシー・ドライバーが、自分の存在を世間に認めさせようと『行動』を起こす心のプロセスを追う。製作は「スティング」のマイケルとジュリア・フィリップス、監督は「アリスの恋」のマーティン・スコーシージ、脚本は「ザ・ヤクザ」のポール・シュレイダー、撮影はマイケル・チャップマン、音楽はバーナード・ハーマン、編集はマーシア・ルーカスがそれぞれ担当。出演はロバート・デ・ニーロ、シビル・シェパード、ピーター・ボイル、ジョディ・フォスター、アルバート・ブルックス、ハーヴェイ・カイテルなど。

映画.COM

『ジョーカー』の元になった主なポイントは以下の4つです。

  1. トラヴィス・ビックルとアーサー・フレックの共通点
  2. 社会に対する怒り
  3. “あの”ポーズ
  4. 同じ街・同じ時代設定
  5. 虚実入り混じるストーリー展開

一つ一つ解説します。

①:トラヴィス・ビックルとアーサー・フレックの共通点

これはもう、明らかというか、あからさまです。

ロバート・デ・ニーロ演じる主人公トラヴィスは、現実と妄想の区別があやふやでうまく眠ることすらできずに、眠る必要が無いタクシードライバーをしているという、なんというかギリギリのところで生きている社会不適合者なわけですが、この姿は完全に『ジョーカー』のアーサー・フレックそのものですね。

社会で”普通”に生きるのが困難な病気、やがて社会に対する怒りをぶちまける姿、多くがアーサーに重なります。

②:社会に対する怒り

トラヴィスもアーサーも、社会に対する怒りを抱えています。

秘めていた怒りは終盤につれて徐々に表面化し、やがて大爆発するわけですが、そのフラストレーションの変化が“変身”という非常に分かりやいカタチで両者ともに可視化できます。

【トラヴィス・ビックル】

before

after

【アーサー・フレック】

before

after

終盤で主人公の姿が一変するわけです。

これは社会に対する反発、怒りを具現化しています。

③:”ある”ポーズ

すでに『タクシードライバー』を鑑賞済みの方は、『ジョーカー』の例のシーンで「このポーズ」を思い浮かべる方も多いと思います。

ありましたね『ジョーカー』にも。アーサーが上記の写真のポーズをとっているシーンが。

薄暗い部屋の中、ソファの上というのも、完全に『タクシードライバー』にオマージュを捧げているシーンでした。

④:同じ街・同じ時代設定

・『タクシードライバー』|1976年・ニューヨーク
・『ジョーカー』|1981年・ゴッサムシティ(ニューヨーク)

⑤:虚実入り混じるストーリー展開

『ジョーカー』の終盤につれて現実と妄想の境目があやふやになるストーリー展開も、完全に『タクシードライバー』を下敷きにしています。

2.『キング・オブ・コメディ』


© FilmConfect Home Entertainment GmbH

  1. ロバート・デ・ニーロのキャスティング
  2. 主人公の夢が同じ
  3. 同じ街・同じ時代設定
  4. 虚実入り混じるストーリー展開

①:ロバート・デ・ニーロのキャスティング

これは完全にしてやったりというか確信犯的というか、明らかでありあからさまです。むしろ、デ・ニーロが役を引き受けてくれなかったらどうしたんだろうと思ってしまいます。

というのもデ・ニーロが『キング・オブ・コメディ』で演じている主人公は、街一番の名司会者に憧れる約なんですよ。そう、これアーサーと全く同じですよね。彼もまた、マレー・フランクリンという司会者に強く憧れ、それが人生の糧にもなっています。

そして、そのマレー・フランクリンを演じるのが、そう、ご存知ロバート・デ・ニーロなんですよ。

かつて自分が(役上ではありますが)憧れた立場の人間を演じているわけです。そして、かつての自分と同じ立場の社会不適合者によって殺されるわけです。

ジョーカーの台詞も強烈でしたね。

「あんたはずっとスタジオに籠ってるから俺たちの実情を知らない!馬鹿にしやがって!」

ロバート・デ・ニーロのキャスティングをもって、『ジョーカー』は完成したといっても過言ではありません。

②:主人公の夢が同じ

上記で書いたように『ジョーカー』のアーサー・フレックと、『キング・オブ・コメディ』のルパートパプキンは全く同じ夢を持っています。

そして、どちらも母親と二人暮らしであり、残念ながら才能には恵まれていません。

③:同じ街・同じ時代設定

『キング・オブ・コメディ』1982年・ニューヨーク

『ジョーカー』1981年・ニューヨーク

④:虚実入り混じるストーリー展開

『キング・オブ・コメディ』もまた、『ジョーカー』と同じように(というか『ジョーカー』が同じように)主人公の頭の中の出来事なのか、それとも本当のことなのか、だんだんと曖昧になっていきます。

『キング・オブ・コメディ』をくわしく知りたい人はコチラの記事がおすすめ
『キング・オブ・コメディ』で描かれる喜劇と悲劇【『ジョーカー』との関連性も】

3.『フレンチコネクション』


20th Century-Fox / Photofest

ニューヨーク、麻薬密売ルートを探るポパイことドイルと相棒のラソー両刑事は、マルセイユからやってきたシャルニエの尾行を開始。強引な捜査を行なうドイルは逆に命を狙われることになり……。ニューヨーク市警の刑事ふたりが繰り広げる決死の捜査を描いたサスペンス・アクション。高架線下のカーチェイスは映画史に残る名場面となった。

映画.COM

アーサーが最初の一線を超えてしまったシーン、地下鉄で3人のエリートサラリーマンを射殺する印象的な場面ですが、とりわけ最後に残った太った男性が階段を這い上るところを、これでもかと後ろから打ち抜く瞬間は強烈でしたね。

『フレンチコネクション』にもこのシーンをを強く連想させる場面があります。

もはや説明不要、上の画像通りのシーンです。

4.『エクソシスト』

女優クリスの12歳の娘リーガンはある時から何かに憑かれたかのようにふるまうようになる。彼女の異変は顕著になるが、病院の科学的な検査でも原因は判明しない。やがて醜い顔に変貌したリーガンは緑色の汚物を吐き、神を冒涜するような卑猥な言葉を発するようになる。悪魔が彼女に乗り移ったのだ。その後、リーガンの前にふたりの神父メリンとカラスが訪れ、悪魔祓いを始めるが……。世界中にオカルトブームを巻き起こした戦慄のホラー映画。

映画.COM

『エクソシスト』で印象的なシーンと言えば、あの長い長い階段のシーンでしょう。

上記のツイートの通り、『ジョーカー』に出てくる階段と本当にそっくりです。

『ジョーカー』でも印象的だった”あの”長い長い階段。

階段を登るアーサーの足取りは重く、階段が現実に続くことを表していました。

しかし、クライマックスで階段を下りるシーンでは…

そう、印象的な階段ダンスのシーンです。ジョーカーへと覚醒したアーサーの足取りは軽く、ステップを踏み狂喜乱舞するシーン姿は、前半との見事な対比によって一段と心に残る名シーンになっていましたね。

アメリカ映画の「階段シーン」は人々の心に強烈に残るものが多いです。

ちなみに『フレンチコネクション』と『エクソシスト』は、どちらもウィリアム・フリードキン監督による作品です。

5.『狼よさらば』

PARAMOUNT PICTURES

犯罪の温床ニューヨークを舞台に、妻子を殺されたビジネスマンの復讐を描く。製作総指揮はディノ・デ・ラウレンティス、製作はハル・ランダースとボビー・ロバーツ、監督は「シンジケート」のマイケル・ウィナー、脚本はウェンデル・メイス、原作はブライアン・ガーフィールド、撮影はアーサー・J・オーニッツ、音楽はハービー・ハンコックが各々担当。出演はチャールズ・ブロンソン、ホープ・ラング、ヴィンセント・ガーディニア、スティーヴン・キーツ、ウィリアム・レッドフィールド、キャサリン・トーラン、、スチュアート・マーゴリン、ジェフ・ゴールドブラム、グレゴリー・ロザキス、クリストファー・ローガンなど。

映画.COM

『ジョーカー』で印象的だったシーンは多くありますが、とりわけ、地下鉄での悲劇…アーサーがジョーカーとして変貌を遂げる最初の一歩となったシーンではないでしょうか?

『狼よさらば』でも、同じように自己防衛から拳銃で相手を射殺するシーンがあります。

『ジョーカー』のあの印象的なシーンの元になった名シーンだと言っていいでしょう。

6.『モダン・タイムズ』

MAXMUNNAUTREY/CHAPLIN/UNITEDARTISTS/TheKobalCollection/WireImage.com

 チャップリンが機械文明に対して痛烈な諷刺を込めて描いた作品。文明という名の機械化の波があれよあれよという間に押し寄せてきた30年代。工場で働くチャーリーは、スパナを両手に次々と送られてくるベルトコンベアーの部品にネジを締めていた。ところが絶え間なく運ばれてくる部品を見ている内に、段々彼の頭がおかしくなっていった……。

Yahoo!映画

こちらは元ネタというか、映画全体のモチーフですらある、かの喜劇王チャーリー・チャップリンの名作です。

劇中でも同作が上映されているシーンがありましたね。アーサーとウェイン氏が顔を合わせる、あのシーンの直前です。

チャップリンの名言で、

「人生はクローズアップで見れば悲劇だが,ロングショットで見れば喜劇だ」

という言葉があります。

この言葉こそが『ジョーカー』という映画そのものを表していると言っても過言ではありません。


『ジョーカー』は、アーサーがピエロのメイクを施すズームアップのシーンから始まりますよね。

完全に「クローズアップ」です。

つまりこのシーンで、「この映画は、ある一人の男の悲劇の話しですよ」と、観客に伝えているわけです。その後に彼を襲う数々の悲劇に、僕たちは抗うことなく感情移入します。

しかし、映画のラストシーンを思い返してください。

恐らく精神カウンセラーに何らかの危害を加えたアーサーは、病院の職員から(まるでトムとジェリーのように)逃げ回りますよね。

カメラは、そう“引き”です。

引き切った画面に黄色の文字で(1920年のコメディ映画によく見られたフォントで)The End。バーン!

『ジョーカー』という映画は、コメディ映画として幕を閉じるわけですね。かんっぺきですね。

もう本当か嘘か、嘘か本当か、現実はどこまででどこからが妄想か…

僕たち観客の思考を、完全に煙に巻くわけです。

これこそまさに、ジョーカーですね。

7.『ハングオーバー』シリーズ

(C)2009 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

トッド・フィリップスの出世作『ハングオーバー』シリーズも見逃せません。

これもまさにチャップリンの「人生はクローズアップで見れば悲劇だが,ロングショットで見れば喜劇だ」の言葉通り、このシリーズはコメディ映画ですが、それはつまり、主人公たちを“客観”から描いているからです。

客観、つまり”引き”です。

『ジョーカー』は客観を(アーサー・フレック)の”主観”に置き換えただけなんですね、実は。

劇中でアーサーは言いました。

「悲劇も喜劇もすべては主観だ。」

見る角度を変える、ただそれだけで物事は”悲劇”にも”喜劇”にも成り得るということです。

あとがき

他にも『カッコーの巣の下で』や『ネットワーク』なども元ネタと言っていいと思います。

もちろんバットマンの原作やクリストファー・ノーラン監督『ダークナイト』に繋がるシーンも多々あります。

“今世紀最高”という使い古された誇大表現も『ジョーカー』の前では、ただの当たり前の評価でしかありません。

『ジョーカー』を映画の森の入り口にしてみるのもいいかもしれませんね。