いつもの通勤途中、そう、ちょうどブログのネタをメモに打ち込もうとiPhoneを取り出したとき、なんとなく、本当になんとなく、この曲が聴きたくなったんです。
アレンジといえるのかも怪しいほどシンプル極まるアレンジ、素人耳にもわかるほどドンシャンドンシャンうるさい下手くそなドラム、そして、まるで子供の悪ふざけのようなボーカル。
突然ですが、クレヨンしんちゃんの映画で感動したことってありませんか?オトナ帝国とか戦国大合戦とか。そう、まさにあの感覚なんです、この曲は。
下手くそだからいい。シンプルだからいい。子供の悪ふざけみたいな声だからいい。だから心揺さぶられる。
『毛皮のマリーズ』
かつて毛皮のマリーズというバンドが、いた。
いた。今はもういない、解散してしまったバンドです。
まずは見てください。どうですか、リフ、ギターソロ、おまけに顔を黒く塗りたくって、どっからどう見てもザ・ローリング・ストーンズです。(ストーンズの名曲にという名曲があります)
悪ふざけが過ぎますよね。でもこんなバンドが武道館まで行ったなんて、それってすげぇ夢ありますよね。
「あなた生まれてくる時代30年は間違ってますよね」と突っ込みたくなる風貌と子供が駄々をこねているかのような歌声のフロントマンでありバンドリーダーであり、全ての作詞作曲を手掛けける男、志磨遼平。
いかにもギタリスト然としたやんちゃな雰囲気、絶対男に好かれるタイプの男、ギター越川和磨。
「お姉さん一生ついてきます」と言ってしまいそうになる紅一点、ベース栗本ヒロコ。
お笑い芸人のような見た目(実際に元お笑い芸人)ドラマーというよりバンドのマスコット的立ち位置、ドラム富士山富士夫。
完全に個性が過ぎてる、過ぎてるんですよ。
個性のバーゲンセールかよってぐらい個性が過ぎてるこの4人がメジャーデビューを果たし、全国ツアーを行い、最後はロックの殿堂『日本武道館』で花火のように散っていた。(日本武道館がバンドにとっての解散ライブだった)
メジャーデビューから武道館公演までわずか2年足らずの出来事でした。
かっこよすぎますね、ロックバンドはこうじゃないと。
聴く人を選ぶ、正直メジャーとは言い難い毛皮のマリーズは、なぜ日本武道館でワンマンを演れたのか?なぜオリコンチャートで3位を取れたのか?
理由は2つあります。
まず1つ、2000年代初頭、海外で巻き起こった“ロックンロール・リヴァイヴァル”という動き。
これはロックの先祖帰りのようなもので、肥大化したロックに、「おいおいロックってそんなに複雑じゃねぇだろ、もっとシンプルに行こうぜ」という、いわばロックがロックに噛み付いた、そういったカウンターパンチがあったわけです。
海外で起こったその一連の流れが、数年遅れて日本にやってきて、毛皮のマリーズやbawdies、所謂オーセンティックなロックバンドが脚光浴びるようになりました。
つまり、毛皮のマリーズは一見、とても時代遅れ、時代錯誤のようでいて上手く時代に乗ったバンドというわけですね。
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2つ目、愛すべきマイノリティな奴らの圧倒的支持。
誰とも分かり合えないし分かり合えなくていい。俺は俺だっで決め込んで教室の片隅でイヤフォンで耳塞いでロック聴いてるやつって学校に数人はいるじゃないですか?
そういう、愛すべきマイノリティな奴らが当時こぞって聴いていたのが毛皮のマリーズでしたね。これだこれ、これを待ってた!みたいな雰囲気で。
奴らは基本的に一度好きになった音楽を裏切らないので、そういった層から支持を得ていたことはかなりデカイです。
(タップできる)目次
毛皮のマリーズ 名曲3選
ビューティフル
冒頭にも載せた毛皮のマリーズの、というよりも、2000年代日本のインディーロックシーンのアンセム ビューティフル。
これ聴いて魂震えたらあなたは絶対にロック好きですよ。
HEART OF GOLD
毛皮のマリーズ最後のアルバム『THE END』に収録されている名曲。
これこれこれなんですよねシンプルなアレンジと構成で名曲を作り上げてしまう志磨遼平の才能爆発の1曲。
コミック・ジェネレイション
2016年公開の映画の主題歌として志磨遼平がセルフカバーした名曲『コミック・ジェネレイション』。
あの菅田将暉も自身のソロライブでカバーしたのだとか。これまたシンプルなんですよねー、だからこそ歌詞が生きる、響く。
ちなみにこちらが2016年ヴァージョン。
毛皮のマリーズ アナログ盤プロジェクト
周年記念としてアナログ盤を毎年1枚リリースしている元・毛皮のマリーズの志磨遼平。
毛皮のマリーズは今も死んじゃいない。
元・毛皮のマリーズ、現・ドレスコーズの志磨遼平は彼がオーナーを務めるのレーベルから、当時CDでリリースれた自分たちの過去作を、毎年1枚ずつアナログ盤で再リリースしています。
こういうのファンからすると嬉しいですね。
戦争をしよう
毛皮のマリーズ記念すべき1stアルバム、その名も『戦争をしよう』。
なんとも物騒なタイトルですがこのタイトルには、実は明確な意味があります。
「好きなあの子の頭上にミサイルを飛ばされたなら、ぼくはそれを黙って見過ごすわけにはいかねぇ!戦争じゃい!」
という、このアルバムタイトルは、愛すべき人を守るための戦いの宣言なわけです。
マイ・ネーム・イズ・ロマンス
50年代から60年代のポップソングやロックスのフレーバーが存分にブレンドされた毛皮のマリーズ史上最も聴きやすいポップなアルバム。
マリーズを最初に聴く方には、こちらがおすすめです。
Faust E.P
『マイ・ネーム〜』と対をなすミニアルバム、所謂EP盤。
むこうが“陽”ならこちらはひたすらに“隠”。
まるで真逆のサウンドですが、同時期に録音されたも作品なので、音の感触としてはマイネイムと完全に一卵性双生児、瓜二つです。
聴く人を選ぶ作品だけど、ジャーニーとハートブレイクマンだけは聴いてほしい。
あとがき
毛皮のマリーズ、最高なんすよ。
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