『イングロリアス・バスターズ』感想・あらすじ【タランティーノが描く痛快な復讐譚】 | The Bird's Nest Hair  
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『イングロリアス・バスターズ』感想・あらすじ【タランティーノが描く痛快な復讐譚】

「舞[/box]台は第二次世界大戦中のドイツ国防軍占領下のフランス…」

と、聞くとなんだか身構えてしまいますが、心配ご無用。

歴史や戦争に詳しくなくても全く問題ありません。

FT

『イングロリアス・バスターズ』は、戦争映画ではなく、映画好きの映画好きによる映画好きのための痛快娯楽作品です。

『イングロリアス・バスターズ』の評価

(C)2009 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

『イングロリアス・バスターズ』のレビュー
演出
(5.0)
音楽
(3.0)
ストーリー
(5.0)
キャスト
(5.0)
リピート
(3.0)
総合評価
(4.5)

タランティーノ作品にしては珍しく、時系列操作はあまりなく、物語はクライマックスに向けて一つの方向へ一気に突き抜けていきます。

 

戦争や歴史にさほど明るいわけではありませんが、アウシュヴィッツ・ビルケナウ収容所には行ったことがあります。

人類の負の歴史、忘れてはいけない過去…資料や展示とはいえ、あまりの凄惨な記録の数を目にして、その場に座り込んでしまいしばらく立ち上がれなかったことを覚えています。

本作を鑑賞した、全世界のユダヤ系の人々が溜飲を下げたことでしょう。

これはもう、僕のような普通の日本人には絶対に分からない感覚ですが、間違いなく大久野ユダヤ系の人々が救われたはずです。

そこはさすがタランティーノというか、シリアスになりすぎず、かといって笑いにも寄りすぎず、とにかく絶妙なバランス感覚で描かれています。

タランティーノらしいドライな質感が、あくまで、これは映画なのだと感じさせます。

『イングロリアス・バスターズ』スタッフ&キャスト

(C)2009 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

『イングロリアス・バスターズ』スタッフ

『イングロリアス・バスターズ』スタッフ
監督クエンティン・タランティーノ
脚本クエンティン・タランティーノ
製作ローレンス・ベンダー
撮影ロバート・リチャードソン
編集サリー・メンケ

監督・脚本:クエンティン・タランティーノ

クエンティン・タランティーノ7作目の長編作品にして、最大の興行収入を収めた大ヒット作が『イングロリアス・バスターズ』です。

最終的に全世界興行収入は3億ドル以上にも及び、それまでの最大のヒット作『パルプ・フィクション』の2億1392万8762ドルを大きく上回る成功を収めました。

『イングロリアス・バスターズ』キャスト

 

『イングロリアス・バスターズ』キャスト
アルド・レイン中尉(バスターズ)ブラット・ピット
ドニー・ドノウィッツ(バスターズ)イーライ・ロス
ヒューゴ・スティーグリッツ(バスターズ)ティル・シュヴァイガー
ショシャナ・ドレフュス(エマニュエル・ミミュー)メラニー・ロラン
ハンス・ランダ親衛隊大佐(ドイツ兵)クリストフ・ヴァルツ
フレデリック・ツォラー国防軍一等兵(ドイツ兵)ダニエル・ブリュール

ブラット・ピット

タランティーノ作品とはじめてタッグを組んだブラット・ピットがマジで良いアジ出してます。

もはやドイツ兵よりも残忍な。イカれたバスターズを束ねるイカれた将校、アルド・レイン中尉を終始フルスロットル・フルテンションで演じるブラット・ピット、格好良いです。

クリストフ・ヴァルツ

紳士的な装いに隠された底知れぬ冷酷さと残虐性、ナチス親衛隊のハンス・ランダ役を演じたクリストフ・ヴァルツは、その名演技が高く評価され、同年のアカデミー賞助演男優賞に輝きました。

同じくタランティーノ作品の『ジャンゴ』(2013)で、二度目のアカデミー賞助演男優賞を獲得しています。

『イングロリアス・バスターズ』あらすじ

(C)2009 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

鬼才クエンティン・タランティーノ監督が自由な発想で描く、第二次世界大戦を題材にした過激で痛快な復讐譚! 戦火の嵐が吹き荒れるヨーロッパで、ナチス兵を襲い頭皮を剥ぎ血祭りにあげる、アメリカ軍のゲリラ部隊が暴れまわる! 敵に“バスターズ”と呼ばれ恐れられる、そのナチス狩り部隊を率いるのは、ブラッド・ピット演じるアルド・レイン中尉。彼らは、大胆不敵にも第三帝国の首脳陣暗殺の計画を決行しようとする。

filmarks.com

『イングロリアス・バスターズ』感想

(C)2009 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

その手があったか

映画であることを最大限に示してみせたラストのシーンがとにかく素晴らしいです。

ヒトラーは自ら命を絶った。史実ではそのように記されていますが、しかし、本作で描かれるヒトラーの最期はそうではありません。

アドルフ・ヒトラーは、バスターズらによる銃弾の雨粒を浴び、肉片になってあっけなくくたばるのです。

これにはもう、「さすが、タランティーノ」としかいいようがありません。

そしてラストの3分間。ヒトラーたちを連合国側に売ったことで英雄となったランダ将軍に、ブラットピット演じるアルド・レイン中尉が言い放つわけです。

「気に入らねぇ」

「お前がナチの軍服を脱いで、どこのだれだか分からなくなるのは、それだけは絶対に許せねぇ」

そして、ナイフで彼の額に鉤十字を刻み込むのです。一生消えない印を。

アルド・レイン中尉は、その出来に自画自賛するわけです。

「こいつは、過去最高の出来だぜ」

最高のラストじゃないですかね。

痛快爽快B級映画的ノリ

とんでもないことを描いているはずなのに、終始、ノリがB級映画のそれであるところも最高です。

「あ、頭使わず、肩ひじ張らずに観て良い映画なんだな」ということを観客に示しつつ、歴史を無視しつつ、ときに無駄話を挟みつつ、しかし、ラストに向かって無数の要素が絡み合い噛み合い、やがて一つに繋がっていく。

これぞタランティーノ!ですよ。素晴らしい。

あとがき

(C)2009 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

映画であることを最大に活かした作品ですが、アメリカとドイツの文化や言葉の違いを、映画的に都合よく無視することはしません。そして、そこがまた良いのです。

文化や言葉の違いを脚本に効果的に練り込み、物語の根幹に据え置く。この辺りは、ドイツ語や各国のイントネーションの差異を理解できると、より楽しめるはずです。

本作の素晴らしさをさらに理解するために、大学の第二外国語をドイツ語にしようと思ったほどです。

ちなみに日本語吹き替えは、ブラット・ピットを山ちゃんこと山寺宏一が演じています。山ちゃんといえば、コメディ映画の吹き替えのイメージが強かったのですが(ジムキャリーなど)、今作のブラピの吹替は、なかなかどうして合ってます。

僕は普段、洋画は必ず字幕で鑑賞する派ですが、本作はどちらも楽しめます。