『デス・ストランディング』をプレイした感想【一人ぼっちのまま世界と、繋がる】 | The Bird's Nest Hair  

『デス・ストランディング』をプレイした感想【一人ぼっちのまま世界と、繋がる】

全世界待望の小島最新作『デス・ストランディング』、発売日に購入して早速プレイしています。

この記事を書いている今、久しぶりに現実世界に戻ってきた感覚です。早くデスストの世界に戻りたい…

ちなみに今は、デスストのサントラを流しながら記事を書いています。

そして、まずはじめにお伝えしておきます。

FT

僕はゲームライトユーザーです。

4年前にPS4を購入して以降、“大作”と呼ばれるゲームを中心に年10本ほどをプレイする程度です。

普段ゲームをがっつりプレイされる方には、僕の感想は全く的外れかもしれません。

僕には、ゲームの操作性や仕様を語る知識はありません。

批評ではなく、単なる感想。

『デス・ストランディング』という一つの名作に出会えた喜びと興奮を語っている記事、そのようにご理解いただければ幸いです。
(ストーリー上のネタバレはほぼありません)

『デス・ストランディング』は、全く新しいゲーム体験

ツイートの通りです。

全容が把握できないほど壮大な大きさの途方もなく新しい出来事に、今、リアルタイムで立ち会えている興奮と、それが間違いなく世界を一変させるだろうという、たしかな予感。

個人的には3年前のPSVRよりもはるかに新しい、とんでもなくインパクトのある、何もかもが新しい体験です。
【レビュー】PlayStationVR(PSVR)開封レビュー&体験感想(とにかくすごい)【感想】


世界が寸断されてしまった未来。

何らかの理由で崩壊してしまった世界には、かつて栄えた、かつて人類が築き上げた建造物はもうどこにもない。

まるで、火星かどこか遠い惑星のようにどこまでも広がる荒れ果てた荒野。それが今の地球。

そんな世界で「伝説の配達人」として都市から都市へ、人から人へ、食料などの物資をたった一人で運び続ける男「サム」。

彼はアメリカ大統領から“ある依頼”を受ける。

「北米大陸を東から西へ荷物を運びながら都市のネットワーク機能を復旧させて、もう一度アメリカを再建してほしい」

主人公はサムをプレイしてアメリカ再建を目指すというのが、このゲームの大まかな流れです。

「荷物をA地点からB地点まで運んで届ける」言ってしまえば“ただそれだけ”のゲームです。

しかし、のほほんお使いゲームというわけでもなく、想像を絶する困難の数々がサム(Player)の行く手を拒みます。

行くも地獄・戻るも地獄の過酷すぎる山道、痺れる系のビームを撃ってくる敵、主人公の唯一の癒しともいえる赤ん坊の定期的な死、すぐにボロボロになる靴、配達荷物が衝撃で地面に離散した時の情けない気持ち、そして目には見えないあの世の者と遭遇してしまったときの絶望感…


ゲームをプレイしていない人からすれば「一体何言ってんだこいつ?」って感じですが、全部本当です。

これらの(本当はもっとたくさんの)困難を乗り越えて荷物を届け、自分の基地が見えてきたときの達成感と安堵感といったら…

一切の誇張抜きで、海外一人旅から自宅に帰ってきたときと同じ感情を抱いている自分に驚きました。

「帰ってきた…」

自然にこぼれてしまう一言。

ゲームをプレイしていて、これほどの感覚に陥ったのは初めてです。

理由はやはり、『デス・ストランディング』の新しさにあります。

新しさ①:移動そのものを楽しむ

現在主流のオープンワールドゲームにおいて「移動」というアクションは、正直言って面倒なこと以外の何物でもありませんでした。

少なくとも、僕が今までにプレイしてきた(数少ない)ゲームは全てそうでした。

だからこそ、オープンワールドゲームには、ファストトラベル(ポケモンのそらをとぶ)などのシステムが必ず搭載されています。

移動を簡略化することは、現代のゲームにとっての命題だったのです。

しかし、『デス・ストランディング』は、本来は面倒でしかない移動そのものを楽しむゲームです。

そこが何より新しいと思いました。

本来、困難であり邪魔くさいものでしかない「移動」というアクションを、プレイヤーの前に様々な障害を設置し行動の制限を課して、より困難にすることで「移動」そのものをゲームの根幹に落とし込んでしまう逆転的新しさ。

これには、ライトユーザーの僕でも身震いがするほど興奮しました。

新しさ②:一人ぼっちのまま世界と、繋がる

『デス』・ストランディングを『デス・ストランディング』たらしめているのが、「オンライン要素です」。

「オンライン要素」と聞くと、他プレイヤ-と銃を撃ちあって殺し合ったり、逆に協力し合ってハードワークに従事したりといったことを連想しますが、そのどれとも異なります。

このゲームにおいて、あくまで空間は別々。

「自分の空間」で起きたことが「他の人たちの空間」に反映される仕組みです。(つまり「他の人たちの空間」で起こった出来事が「自分の空間」にも反映される)

・メッセージや看板を立てる

・自分が作った道や橋が他人の役に立てば「いいね!」がもらえる

・道や橋を作る

・アイテムを共有する

具体的には以上のようなことです。

たとえば「自分の空間」で自分が橋を立てると、「他人の空間」でも同じように橋がかかり、自分以外のプレイヤーも渡れるようになります。

もちろん逆も然りで、「誰かが建てた建造物」が「自分の空間」にも反映され、それに助けられることがあります。

『デス・ストランディング』という一つの世界を共有し介しながら、あくまで別々のまま間接的に影響し合うという、新しい繋がりのかたち。

この、競争のないポジティブさしかない繋がりが、とにかく心地いいのです。

世界中のプレイヤー同士が、デスストの世界で、一人ぼっちのまま誰かと繋がることができる。

僕が『デス・ストランディング』の中で一番好きな要素です。

繋がりを強要することはせず、むしろ「どうせ世界は一人ぼっちの集まりだ」ということを伝えられつつ、でも、「もし君が望むのなら世界は繋がることができる」と教えてくれる、それが『デス・ストランディング』というゲームです。

“おなじゲームを遊んでいる”ってそういうことじゃないですか。お互いに撃ち合うのではなくて、間接的に関わっている誰かがほかにもいるんですよ。その幸福感というか、安心感ってありますよね。寂しくて孤独だったけど、自分みたいな人がほかにも世界中にいると。これは、コミコン(アメリカ・サンディエゴで誕生したポップ・カルチャーの祭典)に行ったときなんかと同じ感覚です。僕のまわりにはぜんぜんオタクなんていなかったのに、ここではふつうにいる。なんだ、みんなおったんか、ひとりちゃうわ、って(笑)。

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新しさ③:あらゆるジャンルを飛び越え、繋がる

『デス・ストランディング』のテーマは、繋がりです。

さっき話したこともそうだし、アメリカ大陸を繋ぎ直すというゲームの本筋もすべて繋がりをテーマにしています。

それは、キャスティングや使用曲にも表れています。

僕は、正直言ってゲームよりも音楽や映画の方が好きです。

だからこそ、『デス・ストランディング』に「星野源」やUKバンドの「チャーチズ」「ブリング・ミー・ザ・ホライズン」が起用されることを知ったときにはとても嬉しく思いましたし、映画ファンとしては、あのギレルモ・デル・トロ監督が出演していると知ったときは興奮しました。

あらゆるコンテンツやジャンルを飛び越えて、それら全てを繋ぐ。これほどワクワクすることはありません。

自分の好き同士が接続する快感をゲームで味わえるとは思ってもみませんでした。

小島監督の著書『創作する遺伝子 僕が愛したMEMEたち』を読んで納得したというか、とても腹落ちした言葉があります。

ありがたいことに、僕の作品には作家性があり、オリジナリティがあると評価してもらえている。

自分の目と感性で選んだ作品が、僕だけの価値観を形成し、オリジナルの作品を作ることに結実している。

本書に収められた文章は、僕が僕自身の足と目で選んだ本や映画のごく一部だ。

このラインナップが、いやこの文脈が小島秀夫という人間と作品を創った。

創作する遺伝子―僕が愛したMEMEたち―
小島秀夫/著

日本人はすぐに何でもかんでもパクリだと言いがちですが、そうじゃないと。

自分が時間と労力とお金をかけて集めた素晴らしいもの(そしてもちろんそれらは、誰かが途方もない労力をかけて生み出したもの)からしか、新しいものは生み出せない。

あらゆる文脈は、“そうやって”過去から未来へと繋がってきた。

あらゆるカルチャーは、コンテンツは“そうやって”発展し、繋がってきた。

このことは、例えばこの著書で小島監督と対談している星野源も常々発言していることですが、なぜか日本人の多くの人は理解していない真実でもあります。

「旧世代」最後のゲームとして過去から未来を、繋ぐ

こちらのインタビューで小島監督は、来る5G通信によってゲームの在り方そのものが大きく変わると明言されています。

だれも想像できない、大きな変化が訪れると。

5Gに関して、「通信速度が速くなるんでしょ?」という認識の人が周りにも結構いて驚きますが、それは大きな間違いです。

「中田敦彦のYouTube大学」で非常に分かりやすく解説されているので、是非視聴してみてください。


5Gは今後の人類の日常を一変させてしまうほどの力を秘めていることがわかります。

話が逸れましたが5G、これによってゲームの存在そのものが、これまでとは大きく変わることはすでに周知の事実。

GoogleやAppleがゲームストリーミングサービスを発表したのは、その象徴と言えます。

2020年の5G登場によってゲームは大きく変わる。

つまり、2019年とはゲームが大きく変わる前の最後の年です。

旧世代(敬意をこめてそう呼ばせてください)ゲームの集大成ともいえる作品を、2019年にリリースしたことは間違いなく小島監督の意図することであり、そして、そこには大きなメッセージが込められていると思います。

『デス・ストランディング』は、旧世代から新世代への橋となるゲーム。

それは、ゲームライトユーザーの僕でも、はっきりと実感できることです。

あとがき

今、リアルタイムで『デス・ストランディング』をプレイすることに大きな意味があると思います。

カルチャーやエンターテイメントには、リアルタイムでしか味わえない興奮が必ずあります。

『デス・ストランディング』は、未来にプレイしても間違いなく面白いゲームですが、(リアルタイムの今だからこその)未来では絶対に味わえない、興奮とワクワクがあります。

最先端の技術で世界中どこでもつながって、リアルタイムに関係ができているのに、そのせいで喧嘩したり、殴り合ったり、病気になったり……。そういう、ネット恐怖症になりかけている人たちに向けて、人間のコミュニケーションを先祖返りさせることで、思いやりがあったころの時代を疑似体験してもらうのが『DEATH STRANDING』です。

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