シーンの立ち位置、重要性、意味、そういったものは度外視して、2019年にリリースされた洋楽作品の中で、自分にとって思入れ深いもの、何度も聴いたもの…
牛乳
相も変わらずロックばかりです。
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2019年ベストアルバム
⑩:『Help Us Stranger』/The Raconteurs
2018年は、ジャック・ホワイトのライブに2回もいった。しかも、最前列で観ることができた。ちょっとした自慢だ。
2019年は、ザ・ラカンターズの来日公演を観ることができなかった。ちょっとしたコンプレックスだ。
11年ぶりの今作『Help Us Stranger』がとても素晴らしいだけに、本当にめちゃくちゃ悔しい、仕事の馬鹿野郎。
次は13年ぶりの来日とか言わずに、1年ぶり来日にしてください。
⑨:『Devour You』/Starcrawler
じつは、この作品を挙げるかどうか、結構悩んだ。
なぜってスタークローラーは、とにかくライブが凄まじいから。この前の来日公演は想像の10倍はぶっ飛んで最高だった。
ライブバンドと呼ばれるバンドは星の数ほどいるが、彼女たちが間違いなく一番星だろう。
でもやっぱり、この2ndアルバムは素晴らしい。
音作りのことは詳しくないので何とも言えないが、ものすごく緻密なサウンドアプローチが何層にも重ねられていると思う。(思うというか、ライナーノーツにそう記載されていた)
スタークローラーの過激なライブパフォーマンスを再現するのではなく、彼女たちの魅力を大勢に知ってもらうための入門書的な在り方が、とても良いと思う。
耳にして気になってしまった人は、もうライブに足を運ぶしかない。
⑧:『Everything Not Saved Will Be Lost – Part 2』/Foals
以前から凄いバンドではあったけど、いよいよここにきて大化けしたFoals。
これはもう、ファンなら手放しに誉めるしかない。
しかし、それにしても、過去最高傑作だと思っていた、前作『Everything Not Saved Will Be Lost (Part 1)』を、こうもあっさり超えてくるとは思ってもみなかった。
サマソニ2019、FoalsのライブはThe1975の真裏だったので、残念ながら観ることはできなかった。
楽しみは2020年に持ち越し。単独公演が楽しみだ。
⑦:『Dogrel』/Fontaines D.C.
めちゃくちゃ馬鹿な天才というか、めちゃくちゃ天才な馬鹿というか…(褒めてる)
「馬鹿と天才は紙一重」という言葉がぴったり当てはまるFontaines D.C.のデビューアルバム『Dogrel』は、最初から最後まで最高。UKロックファンのツボをピンポイントで刺激してくる。
とにかくサウンドが最高なので、ライブではもっとすごいんだんろうなと妄想しつつ、初来日公演を楽しみに待つ。
⑥:『Peter Doherty&The Puta Madres』/Peter Doherty&The Puta Madres
「一番好きな洋楽バンドは?」と聞かれれば、コンマ1秒も迷わずに「ザ・リバティーンズです」と答える。
僕にとって特別なバンドだ。イギリスの地でリバティーンズのライブを観たことは、一生忘れることはない思い出だろう。
しかし、Peter Doherty&The Puta Madresの『Peter Doherty&The Puta Madres』をここで挙げているのは、リバティーンズが好きだからという理由ではない。
この作品が、(リバティーンズも含めた)ピート・ドハーティのすべての作品の中で、最もピート・ドハーティらしいと感じたから。
アイリッシュ・パンクやアシッド・フォーク、ボードビルにバロックにジプシー・ミュージック…まるで、宝石を手あたり次第、無造作に袋に詰め込む宝石強盗のように、しっちゃかめっちゃかに鳴らされる音、メロディ。
相変わらず嘘のように下手くそな演奏は、一見、どうしよもないガラクタなのに、じつはちゃんと宝石なのがたちが悪い。
ろくでなしの天才、ピート・ドハーティここに極まれり。
⑤:『Cheap Queen』/King Princess
音楽ファンにとって、自分が以前から注目していたアーティストのデビュー作が、自分の想像を超えて素晴らしいものだったときほど、嬉しいことはないだろう。
King Princessの『Cheap Queen』は、まさにそれだった。僕のちんけな想像の遥か彼方で輝く素晴らしさ。
④:『Schlagenheim』/black midi
一番好きな海外のバンドは、ザ・リバティーンズだ。そして、周辺のUKインディ・ロックが大好きだ。当然、ラフ・トレード贔屓だったりする。
しかし、そんな贔屓目に無しにしても、このラフ・トレード出身の新人は凄まじすぎる。
僕は現在27歳。出てくる新人は、とっくに自分よりも年下ばかりになった。
自分よりも年下のバンドにはなんとなく熱心になれなくなった。プライドだろうか?別に、音楽をやっているわけでもないのに。
black midiの前では、そんなちんけなプライドは無意味だ。この音の塊を前にして、抗うすべにない。
③:『Ross』/Low Roar
PS4用ゲーム『デス・ストランディング』の主題歌・挿入歌として起用されたことでも大きな話題を集めている、アイスランド出身のミュージシャン、ロウ・ロアー。
僕はアイスランドに行ったことはないが、この作品を聴くと、なんとなくアイスランドの風景が思い浮かぶ。凍てつく寒さとそこに暮らす人々の温もりと灯りが。
そして、もう一つ思い浮かぶ風景は(これは想像ではなくはっきりと思い浮かぶ)、『デス・ストランディング』のゲームの風景だ。
ここではゲームの詳しい説明は避けるが、とにかく素晴らしいゲームで、これまでにプレイしてきたゲームの中で断トツ1番に好きになった作品だ。
『デス・ストランディング』のテーマは、“繋がり”。
僕は、素晴らしい音楽と繋がることができた。
②:『JOKER』/Hildur Guonadottir
映画『ジョーカー』のサントラ盤。
Hildur Guonadottirによって製作されたばかりの音楽を、トッド・フィリップス監督が撮影現場で流し、そして、ホアキン・フェニックスが彼女の音楽に呼応するかのように、“あの”死の舞踏を、即興(アドリブ)で踊ったというエピソードは、ファンの間では有名だ。トイレのシーンだ。
僕は、とにかく『ジョーカー』にハマった。映画館で6回は観た。まだ観るかもしれない。
この作品は、僕の中の映画熱を再燃させてくれた。
『ジョーカー』のサントラ盤は、今年一番よく聴いた洋楽作品だ。
①:『Jump From The High Dive』/Sean Henry
Sean Henry。正直、まだあまり有名ではないアーティスト。でも、僕にとっては彼の『Jump From The High Dive』が、2019年のナンバーワンだ。
一音目が鳴った瞬間、「あ、これは、普通とは違う。」と、僕の第六感が、僕にそう告げた。
急いでSpotifyの停止ボタンを押す。部屋の電気を消して全ての情報をシャットアウトした真っ暗闇の中で聴いた。僕なりの音楽への向き合い方。
一音目から、最後の一音が鳴り止むその時まで、すべての音が大好きでたまらなかった。
いや、むしろ音が鳴っていないときでさえ、好きだ。「こういう音楽が聴きたかった」と、これほどまでに思ったことは、今までにないかもしれない。
一目惚れならぬ、一聴き惚れ。
まるですべての音が、すべての声が、自分のためだけに鳴り響いているように感じた、自分のことを歌っているように感じた。
Sean Henryの存在は、この作品ではじめて知った。この作品を知ることができたのは、Spotifyのレコメンド機能だ。まだあまりメジャーとは言えない、ニューヨークのアーティストの新譜を、日本で、自室で、瞬時に聴くことができる。素晴らしい。
でも、サブスクだけでは心が足りないから、すぐにLPを注文した。
Spotifyの存在に大いに感謝しつつ、やっぱり自分は形あるモノが好きだと思った。
あとがき
『Two Hands』(Big Thief)、『Ghosteen』(Nick Cave & The Bad Seeds)、『Hyperspace』(BECK)、『Father of the Bride』(Vampire Weekend)、『When We All Fall Asleep, Where Do We Go?』(Billie Eilish)…etc
とても悩みましたが、やっぱり、実際にライブに足を運んだとか、特別な出会い方や聴き方をしたアルバムは、作品が本来持つ意味や評価を超えて、自分自身の中で特別な価値が生まれますね。
Spotifyに加入して以降は、様々な音楽を聴くようにしているし、実際に色々なジャンルの音楽を聴いてはいるのですが、やっぱり僕の琴線に触れる音楽は、ロックのようです。
