『チョコレートドーナツ』あらすじ・感想【Any Day Now。その日まで、僕たちだけは】 | The Bird's Nest Hair  
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『チョコレートドーナツ』あらすじ・感想【Any Day Now。その日まで、僕たちだけは】

先日の僕のツイートです。

ノンケの男性がスカートを履くだけで後ろ指さされて笑われる国です、ここは。

残念ながら偏見と差別に溢れている国です。

人と少しでも違えば、「普通のレール」から少しでもはみ出せば、大勢から笑われ、蔑まれ、馬鹿にされる国です。

だからこそ、少しでも多くの人に『チョコレートドーナツ』という映画を観てほしい、そう思います。

『チョコレートドーナツ』は、2012年に公開された映画です。ストーリーは「1970年代のアメリカ。ゲイのカップルが障がいを抱えた少年を育てるために奮闘する」というものです。

日本語のキャッチコピーは、

「僕たちは忘れない。ぽっかりと空いた心の穴が愛で満たされた日々―」

ちなみに本作の原題は『Any Day Now』です。

Any Day Now』。

本編ラストで、主人公ルディが歌う「I Shall Be Released(原曲はボブ・ディラン)」の歌詞です。

意味は、「いつの日か、いつかはわからないいつの日か、すべての苦しみから解き放たれるだろう」

本記事では、『チョコレートドーナツ』のあらすじ(ネタバレ含)・感想、そして「男性の同性愛」をテーマにした三つの映画を紹介しています。

『チョコレートドーナツ』あらすじ【ネタバレあり】

場末のゲイバー、ルディとポールは運命の出会いを果たす。

ルディはゲイバーに務めるドラッグクイーンのパフォーマー。本当は歌がとても上手なのに、仕事上やむを得ず口パクで歌っている。

ポールは検事局に務めている。かつては世界を変えるという志をもっていたが、彼は未だに、周囲に「自分がゲイだ」とカミングアウトできずにいる。世界を変えるどころか、自分の世界すら変えられずにいるのだ。

二人は、その夜のひと時を楽しみ、二人は次に会う約束をして、別れた。

ルディはお世辞にも、良い暮らしをしているとは言えなかった。何せ隣人は薬物依存症のシングルマザーで、一日中大音量でT.REXを流しているような家庭だ。

隣人はシングルマザー。息子がいる。息子の名前はマルコ。

マルコは、普通とは少し違った男の子だった。マルコには障がいがあった。ダウン症候群だった。

ルディは、マルコのことをひそかに心配していた。

マルコの母、隣人のシングルマザーは、ネグレクトの挙句に薬物依存症で逮捕された。

マルコはひとりぼっちになってしまった。

様子を見守っていたルディは、彼を引き取る決心をする。

そうはいってもルディは、お世辞にも良い暮らしとは言えない。彼は、家賃すら滞納する始末だ。

ルディは、ポールを頼った。

ポールは、最初はたしかに渋っていた。嫌々だった。中年のゲイ二人が、障がいをもった子どもを育てられるはずがないと。

それでも、三人は一緒に暮らし始めた。もちろん、法律に則って。

ルディとポールは、世間には二人の関係を隠していた。二人が同性愛者だと知られたら、マルコとは一緒に暮らせないからだ。

三人は幸せだった。うまくやっていた。

マルコは生まれてはじめて愛情をもらった。人からの愛情を。

ルディは、マルコが眠りにつく前によくお話を聞かせた。

「魔法使いの少年マルコ」の冒険の物語。マルコはルディのお話が大好きだった。

夏には3人で海に行った。砂浜を駆け回った。秋にはハロウィーン。三人で仮装をした。授業参観もあった。

そして、クリスマス。クリスマスツリーの下にはたくさんのプレゼントと三人の笑顔があった。

気が付けば、三人で暮らし始めてから一年が経っていた。

三人は幸せだった。たとえ、血は繋がっていなくても、お父さんが二人だったとしても、息子に障がいがあったとしても、三人は家族だった。

しかし、世間は三人の幸せを良しとはしなかった。理由は一つだけ。三人が世間とは違ったからだ。

ルディとポールの二人の関係が世間に知られてしまった。二人はマルコから引き離された。彼らのことをよく知りもしない偉そうな大人たちの手によって。

ルディとポールは、マルコを取り戻すため戦うことを決めた。

二人は全てをさらけ出した。法廷に立ち、自分たちのことを全てさらけ出した。1970年代の差別が大きなツラをしていたアメリカで。

二人は負けた。敗れた。権力に、法律に、世間に。養育者として認められなかった。

マルコは二人に合いたい一心で施設から脱走する。障がいをもった男の子が、真夜中にロサンゼルスの街を徒歩で移動する。

無事にたどり着ける可能性が、果たしてどのくらいあるだろうか…。

脱走から三日後、橋の下で冷たくなっているマルコが発見された。

マルコは死んだ、いや、マルコは殺された。権力に、法律に、世間に、差別に、理不尽に、殺された。

歌手として認められたルディは、愛する者が奪われた悲しみを、怒りを、マイクに込めて今日も歌う。

『チョコレートドーナツ』スタッフ&キャスト

『チョコレートドーナツ』スタッフ

『チョコレートドーナツ』スタッフ
監督トラヴィス・ファイン
製作総指揮トラヴィス・ファイン
脚本トラヴィス・ファイン
撮影レイチェル・モリソン
音楽ジョーイ・ニューマン

脚本:ジョージ・アーサー・ブルーム

「1970年代のニューヨーク ブルックリンで、ゲイの男性が育児放棄された障害児を育てた」という実話に着想を得て製作された映画が、『チョコレートドーナツ』です。

本作の脚本を務めたジョージ・アーサー・ブルームは、僅か数ヵ月間で脚本を完成させたそうです。

ルディのモデルになったゲイの男性を友人から紹介され、彼がその子供を養子にしようとしたらどうなるだろうかと考えたそうです。

ゲイという社会的マイノリティな存在が、障がいを抱えた少年を養子にしようとしたときに直面する、法律上、世間の目、常識、そういった問題について調査したといいます。

撮影:レイチェル・モリソン

アメリカ出身の撮影監督。

2017年公開の「マッドバウンド 悲しき友情」で女性撮影監督として初のアカデミー賞ノミネートを果たし、翌年の大作映画「ブラックパンサー」でも撮影監督として名を連ねています。

彼女が作り出す、温かさと悲しさと、それら全てを包み込むような優しい映像表現は本作でも遺憾なく発揮されています。


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『チョコレートドーナツ』キャスト

『チョコレートドーナツ』キャスト
ルディ・ドナテロアラン・カミング
ポール・フラガーギャレット・ディラハント
マルコ・ディレオンアイザック・レイヴァ
マリアンナ・ディレオンジェイミー・アン・オールマン

アラン・カミング

スコットランド出身の俳優アラン・カミング。
映画俳優としてだけではなく、舞台俳優・映画監督・脚本家・文筆家…その活動は多岐に渡ります。

映画では、本作のようなゲイ役やあるいはオタク、あるいは変人…変わり者の役が多いカミングですが、どんなキャラクターでも自分のものにしてしまう圧倒的な演技力で、世界中から高く評価されています。

『チョコレートドーナツ』でみせる、マルコを見守る温かく愛のある眼差しは、まさに母親のそれ。そしてポールを見つめる瞳は恋する女性のそれです。本作のカミングの演技は、彼のフィルモグラフィの中でも一際強く輝いています。

また、本作で同性愛者を演じたカミングは、実際に自分のことをバイセクシャルだとカミングアウトしていて、2007年に男性のグラフィック・アーティストと同性婚したことでも有名です。


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『チョコレートドーナツ』感想

「僕には、同性愛者、所謂“ゲイ”の知り合いが何名かいます。」

と、話したとき、「僕自身は、ゲイではありませんが。」そう付け加えるのは、結局自分も彼らに偏見をもっているからだろうか…。

『チョコレートドーナツ』に出てくる、権力に屈した汚いやつらと所詮は同じなのだろうか…。

そんなことを考えてしまい、いつもモヤモヤした気持ちになります。

でも、これだけは言えます。

僕は、ゲイで悪い人に出会ったことがありません。

品があって、思いやりがあって、愛に満ちている、一人の人間として心から尊敬できる…

そう、まるでルディ・ドナテロのような人たちばかりです。僕の知り合いのゲイの人たちは。

日本には偏見などないという人たちがいますが、それは間違いです。

むしろ偏見大国といっていいでしょう。

島国の単一民族。「人と同じが良い」という国民性。

そんな国で、差別や偏見が起こらないはずがありません。

ゲイの人たちは日々、差別や偏見に苦しんでいます。

僕の友人・知人のゲイの人たちは、「自分は同性愛者だ」と世間にオープンにしている人ばかりですが、もちろんそんな人たちばかりではありません。

あなたの周りにも同性愛者の方はいます、きっと。あなたがそうだと知らないだけで。

この世界、この国から差別や偏見が無くなるとは思いません、思えません。

でも、この映画を観た僕たちだけは、『チョコレートドーナツ』を観た僕たちだけは、差別しちゃいけない。

世界を変えることは出来なくても、自分の世界だけは変えなくちゃいけない。

忘れちゃいけない、ルディを、ポールを、そして、マルコを。

男性の同性愛をテーマにした映画三選

1.ミルク

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自らをゲイであることを公言した政治家、ハーヴィー・ミルクの半生を描いた伝記映画『ミルク』。

2008年公開。主演を務めたのは、アカデミー俳優の中でも随一の演技派で知られるショーン・ペン。

舞台は1970年のロサンゼルス。そう、奇しくも『チョコレートドーナツ』と同じ年代、同じ街。

当時のアメリカが、いかに偏見に満ちていたかが分かります。

まだ、同性愛者が市民権を得ていなかった時代。

社会の不平等を無くすため、世界を変えるため、同性愛者のみならず、アジア人、黒人、ブルーワーカー…多くの社会的マイノリティのために立ち上がり、戦った。ハーヴィー・ミルク最後の八年間の物語。

2.ブロークバック・マウンテン

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今は亡き名優、ヒース・レジャーが主演を務めた2005年公開のアメリカ映画『ブロークバック・マウンテン』。

脇を固めるのは、ジェイク・ジレンホール、アン・ハサウェイ、ミシェル・ウィリアムズと、実力派揃い。

監督はアン・リー。本作ではアカデミー賞監督賞に輝きました。(2012年の「ライフ・オブ・パイ」では2度目のアカデミー賞監督賞受賞)

1960年代~80年代のアメリカ中西部の田舎街を舞台に、惹かれ合う二人の男性を描いた愛の物語です。

3.フィリップ、君を愛してる!

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世界最高峰のコメディ俳優ジム・キャリーとイギリスの名優ユアン・マクレガー主演のラブコメ映画『フィリップ、君を愛してる!』

2009年公開。製作総指揮は、「レオン」「トランスポーター」でも広く知られているリュック・ベッソン。

刑務所で出会った運命の男性に、一言「愛してる!」と伝えたい男性の実話をもとにしたラブストーリーです。

ジム・キャリー演じる詐欺師、スティーブンのあの手この手の騙しと脱走劇に笑い、二人の男のピュアな愛に泣きます。