帰ってきた地獄に堕ちた野郎ども!『T2 トレインスポッティング』【感想&ネタバレ】

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あのトレインスポッティングの続編が二十年ぶりに公開、というこれは一種の事件であって、だから鑑賞しに行かないという選択肢はありませんでした。
トレインスポッティングは1996年公開でその頃ぼくはまだ4歳でド世代ではないにしろ、ファッション好きとして、音楽好きとして、映画好きとして、トレインスポッティングの魅力はよく分かっているつもりです。

結論から言うと、続編映画に望むもの全てが詰め込まれている作品でした。

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作品情報

『T2 トレインスポッティング』(原題:T2 Trainspotting)は、2017年制作のイギリスの映画。1996年の映画『トレインスポッティング』の20年ぶりの続編。

イギリスでは、2017年1月27日(現地時間)に世界最速公開され、29日までの3日間で興行収入7億円を突破する大ヒットを記録した。

Wikipedia引用

あらすじ

スコットランド、エディンバラ。
大金を持ち逃げし20年ぶりにオランダからこの地に舞い戻ってきたマーク・レントン(ユアン・マクレガー)。表向きはパブを経営しながら、売春、ゆすりを稼業とするシック・ボーイ(ジョニー・リー・ミラー)。家族に愛想を尽かされ、孤独に絶望しているスパッド(ユエン・ブレムナー)。刑務所に服役中のベグビー(ロバート・カーライル)。想像通り? モノ分かりの良い大人になれずに荒んだ人生を疾走する彼らの再会、そして彼らが選ぶ未来とは─。

感想&ネタバレ

ダニーボイルは今尚進化している!!

もうどこを切り取ってもセンスの塊です。そして最高の続編映画です。

あぁ、もう最高です。

時代に迎合できずに取り残されながらも生きていくことを決めて地獄の底で踊り狂う4人の姿が、ビューティフルでした。

20年後の4人

結婚はしたものの子宝に恵まれずに離婚、さらに不景気によるリストラ対象、それに加えて心臓の病も患うという三重苦を背負い、過去を後悔しながらも自分のら居場所を求めて故郷へと帰ってきたマーク。

シックボーイ(サイモン)は結婚はしたものの別居、そして相変わらずの恐喝や売春…etc。ブルガリア人女性のベロニカとともにクソッタレ稼業に精を出していた。

スパッドも見事にクソッタレのままで、マークが残した4000ポンドを全て薬に使い、妻と子供とは別居、さらに仕事もクビ。本人はそれらは全てをサマータイム制度のせいだと訴える。

さて、一番のクソッタレ ベグビーは刑務所にぶち込まれていたが、隙を見て脱走という救いようのないクズっぷり。息子とともに悪事を働こうと企てるが、真面目に生きたい息子に拒絶されてしまう。今でもマークのことを恨み続けている。

と、まぁこれが4人の最新プロフィールなわけですが、ね、みんな物の見事にクソッタレなわけです、あの頃と変わらないまま。いやむしろ、年齢を考えると20年前以上のクソッタレ度です。

そんなクソッタレおっさん達、20年来の恨みのぶつけ合いや、かと思えば再開を喜んだり、どうやら精神年齢もほとんど変わっていない様子。

変わるもの変わらないもの

20年前、3人の仲間を裏切り1人大金を手にして姿を消したマーク。友との決別という人生を選んだマークはしかし再び、エディンバラの地を踏みます。

ザックリ言うと、マークの帰省とともに再び4人の人生は交錯し、後悔や恨みを背負いながらもこのままここで誰でもない自分自身として生きていこうと決意する、どうしようもなく不器用で愛おしい4人のおっさんの話です。

SNSの普及により、人々の人生がデータになってしまった窮屈な現在社会への不満。
あの頃はよかった、昔はよかったという青春時代を美化する虚しさ、哀愁が作品全体を覆います。

クソッタレおっさんたちは、あの頃と変わらず悪事も働きまくります。

・プロテスタントの集会に進入、クレジットカードを奪い金を抜き出す。

・叔母から譲り受けた開店休業状態のパブを売春宿に改装しようとする(のちにマークとサイモンの2人は、エディンバラの売春宿を牛耳る男に真っ裸にさせられる)

・政府の補助金を騙し取る。

万引きに毛が生えたようなもんで、やってることは昔と変わりありません。

決して戻れないと知りながらもあの頃を懐かしむ。と、同時にあの頃を後悔する。あのときこうしていれば。どれだけ後悔してもあの頃を無きものには出来るはずないのに、自分の選択を変えることは出来ないのに…。

昔と変わらず相変わらずバカやってる中にも、おっさんの哀愁が漂いまくってます。

ストーリー重視

今作は前作に比べてよりストーリー性に比重を置いた作りになっています。

金、家族、友情、憎しみ、後悔、あの頃の思い出…わずか2時間の間に一つ一つを丁寧にすくい上げてストーリーに落とし込んでいく手腕はさすがの一言。

さらに、前作はあくまでマークレントンが主人公でしたが、今作ではほぼ均等に4人の様子や心情が描かれています。登場人物の感情や葛藤がより感じられました。

とくにスパッド!隠れた才能を表したり、本気で薬を断とうとしたり、1番頑張っていたと思います。なんだか感慨深いです、ダメ息子をみているようで。(年は向こうが一回り上ですが)

セルフオマージュ

今作も随所でダニーボイルのセンスが光りまくってますが、とくに前作のセルフオマージュがもう最高です。

いろいろありますがやはり1番は、“マークがエディンバラの街を疾走、車にぶつかるも不敵に笑う”あのシーンです。
あのシーンが20年の時を経て甦ります。正直興奮で鳥肌が立ちました。

他にも“あのトイレのシーン”。さすがにトイレに潜るまではないにしても、今回も印象的なトイレシーンがあります。

その他にも無き友トミーを見舞うシーンや、オマージュではないにしろ、前作でマークと所謂セフレ的存在だったダイアンが立派に弁護士やっていたりと、いちいち時の流れを感じさせます。

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あとがき

過去を無きものにはできない。
全部抱えて前へと進んでいかなければならない。
レールを降りるときは死ぬときだ。

カッコ悪いクズのおっさんでも、人生は選べる。

選択肢はいつも目の前に広がっている、目を背けるな。

勝手ながらぼくは、そんなメッセージを受け取りました。