【全話感想&ネタバレ】『クジラの子らは砂上に歌う』~砂舞う世界の冒険ファンタジーアニメーション~

2017/10/15 第二話 追加

IMG_3381

この記事には毎週の感想とネタバレを随時更新していく予定なので、お暇ときに是非!


『クジラの子らは砂上に歌う』あらすじ

砂刑暦93年――
砂の海に覆われた世界の中、小島のような漂泊船「泥クジラ」の上で暮らす人々がいた。外界との接触がまったく無いこの島の人口は、513人。
感情を源とする超能力“情念動(サイミア)”を有する代わりに短命な“印(シルシ)”と、能力を持たないが長命の“無印(むいん)”という種族からなる彼らは、小さな共同体を形成し穏やかに過ごしていたのである。
島の記録係である“印”のチャクロは、ある日「泥クジラ」に漂着した廃墟船を調査する中で、謎の少女“リコス”と出会う。島の人間にとって、初めてとなる外界の人間との接触。それは、新世界を開く福音なのか―。

梅田阿比による同名の人気漫画(秋田書店「月刊ミステリーボニータ」連載)を、監督:イシグロキョウヘイ×アニメーション制作:J.C.STAFFのタッグでアニメ化。砂に包まれた世界を舞台に、少年少女たちの“感情”と“命”の記録が紐解かれる。

公式HP引用

『クジラの子らは砂上に歌う』登場人物

チャクロCV.花江夏樹

IMG_3366

「泥クジラ」で暮らす“印(シルシ)”の少年。
日々の出来事を執拗なまでに書き留めるハイパーグラフィア(過書の病)であり、その特性を活かして島の記録係を務める。
印だが、サイミアを操るのは苦手。

公式HP引用

この物語の主人公でとても心優しい少年。

リコスCV.石見舞菜香

IMG_3367

「泥クジラ」に漂着した廃墟船の中でチャクロが発見した少女。
何らかの理由から感情が失われた兵士、通称“アパトイア”であったが、捕虜として「泥クジラ」で過ごすことになる。

公式HP引用

褐色の肌に銀髪の美しい顔立ちをした謎多き少女。

オウニCV.梅原裕一郎

IMG_3368

ルール違反を繰り返す泥クジラの問題児グループ「体内モグラ」のリーダー格。
サイミアを操る能力においては泥クジラ随一とされている。
外の世界への憧れが強い。

公式HP引用

長身、長髪で見るからに強そうな青年。

スオウCV.島﨑信長

IMG_3369

泥クジラには約1割しかいない“無印(むいん)”のひとりで、次期首長の呼び声も高いリーダー候補。
争い事を好まない大らかな性格の持ち主で、“印(シルシ)”であるチャクロたちからも信頼されている。

公式HP引用

人の死に向き合う心優しい性格の持ち主。サミの実兄。

サミ

IMG_3372

スオウの妹で、チャクロの幼馴染み。
兄スオウとは異なり、サイミアを操ることができる“印(シルシ)”である。
天真爛漫な女の子であり、いつもチャクロのことを気にかけている。

公式HP引用

兄スオウのことが大好きでありながら、チャクロとの関係を冷やかされると猛烈に照れる一面も。

ギンシュCV.小松未可子

IMG_3377

泥クジラの平穏を守る自警団の女性メンバー。
マイペースな性格で、チャクロに「ギンシュ姉さん」と呼ぶことを強制している。
チャクロのことは「チャッキー」と呼ぶ。

公式HP引用

シュアン(団長)CV.神谷浩史

IMG_3375

泥クジラの平穏を守るために結成された自警団のリーダー。
サイミアの能力が高い者でなければ所属できない自警団の中でも最強と目される。
常に笑みを浮かべているが、その本心は不明。

公式HP引用

リョダリCV.山下大輝

IMG_3376

アパトイア(感情の無い兵士)でありながら、感情過多な異端児。

公式HP引用

『クジラの子らは砂上に歌う』全話感想&ネタバレ

第一節『私たちの大事な世界の全てだった』

砂刑暦93年。果てのない砂の海を漂流する漂泊船「泥クジラ」で暮らす人々がいた。その生活を記録する少年チャクロは、半年ぶりに辿り着いた廃墟船で、衰弱した少女リコスを発見する。

公式HP引用

ある女性の葬儀から、この物語はじまる。亡くなったのはまだ若く綺麗な女性。棺桶の蓋がそっと閉じられます。人々は祈りを捧げるように手を組み、目を閉じる。

「泥の乗船から我々はあなたを思い続ける」

1人の女性のその言葉を合図にするかのように、人々の頭上や棺桶に紋章のような不思議な光が浮かび上がり、その光とともに女性を入れた棺桶が空へと浮かび、そして砂の海へと流されれる。

砂刑歴93年7月2日。私たちは死者を砂の海へ流す。このとき、死者を送るものは涙を流してはいけないという。砂底に眠るたくさんの魂に呼ばれ、早く砂に召されてしまう。そう言い伝えられているのだ。

と、語る記録係の少年チャクロはどうやらこの物語の主人公で、そしていま、彼の目には大粒の涙が…。

堪えきれずに大声で涙を流してしまうチャクロ。そしてそれを見て呆れる周りのの人々。どうやらチャクロが泣いてしまうのはいつものことのようだ。

果てのない砂の海を漂流する私たちの漂白船“泥クジラ”の人口は513人。私たちの生活は、砂と、風と、陽の光とともにあった。

子供たちにサイミア(情念動)と呼ばれる超能力の使い方を指導しているサミ。の、もとにやってきた物語の主人公チャクロ。

チャクロもサミも“印”と呼ばれる能力者で、感情によってサイミアを発動できるらしい。そして、“印”は本来、サイミアを使用しない記録係などの役割には就かないものだという。

砂クジラのおよそ9割がこの“印”で、皆、短命。20代〜30代でこの世を去ってしまうことがほとんどだそうだ。

一方、首長や長老会の人などのサイミアを持たないものは、“無印”と呼ばれる存在で、“印”とは違い長命、砂クジラの指導者として生きていく身なのだそうだ。

スオウという無印の者に記録を持っていくチャクロ。泣いていたことがバレてしまうチャクロだが、また、スオウもずっと泣いていたのだという。

砂クジラの人々は、感情が表に出そうなときは情動を堪えんとして、指を組む。

長く生きるスオウは人の死を多く見てきた。指を組み続けてきたその手の甲には、常に痣があった。

スオウの元を去ったチャクロは、泥クジラからそう遠くない距離に“流れ島”を発見する。広大な砂の海に佇む流れ島。チャクロやサミを含んだ8人ほどの偵察隊は翌朝、小型の船を走らせて流れ島に向かう。

砂の海に出ると、サイミアを使わなければ砂に飲み込まれて沈んでしまう。サイミアを使って笹舟を浮かせて走らせるには、全力疾走に匹敵するほどの体力を消耗する。サイミアは無尽蔵に使えるわけではない。

流れ島に到着した偵察隊は2、3人に分かれて調査を開始する。調査早々サミと逸れてしまったチャクロは“人”を発見する。

と、ここまでが1話の前半です。すみません、すでにめちゃくちゃ長くなってます。この物語の世界の説明や設定を書かないことには感想どころではないので…。第1話感想&ネタバレ、もう少しお付き合いください。

虚ろな目をした褐色の少女は、まるで心のない人形のようなその瞳から涙を流す。

サイミアを発動させ、いきなりチャクロに襲いかかる少女。少女の傍らの剣がチャクロを串刺しにせんと宙に浮き襲いかかるも、間一髪、チャクロもサイミアを発動させることで攻撃を防ぐことに成功。力尽きたようにその場に倒れこむ少女を仲間の元へと運ぶチャクロ。泥クジラ以外の“人間”をはじめて目の当たりにして驚き戸惑う一同は、急きょ偵察を切り上げ少女を連れて帰ることに。

帰路、天から降る雨に感極まる一同。泥クジラの人々にとって雨は、吉兆なのだという。

閉じ込められた小さな世界に、この少女が誰も知らない未来を連れてきてくれるのかもしれない。

チャクロたち偵察隊の心は弾んでいた。

泥クジラに着いて目を覚ました、自分の名前も知らない虚ろな目をした名もなき少女は、チャクロとサミに付き添われ治療を受けるため医務室にいくことに。少女の服に施されていた名前の刺繍からチャクロとサミの2人は、少女のことを『リコス』と呼ぶことに決めた。

チャクロたちが医務室に着いたのも束の間に訪れた泥クジラの首長『タイシャ』。すぐさまリコスを長老に紹介しなければならないらしく、首長とともに長老のもとに向かうリコス。一方、チャクロたちは“体内”と呼ばれる場所へ…。

決まりを破ったものたちを投獄する地下区域“体内”では、何故かサイミアが発動しない。寿命が短い印にとって自由を奪われる辛い処分のはずの“体内送り”だが、何度も規則違反を繰り返し投獄する者たちがいた。“体内モグラ”。長い時間を体内で過ごすことから、そう呼ばれていた。

体内モグラのリーダー格であり泥クジラ一番のサイミアの能力者『オウニ』の釈放のため、体内を訪れるチャクロとスオウ。オウニをはじめ、釈放された者たちは皆一様に、外の世界に憧れを抱いていた。狭い世界はごめんだと。

一方、長老室で長老たち5名と話す1人の少女リコス。

「ここはファレナなの?」

そう質問をするリコス。長老たちは答えられないと返答する。ファレナとは一体…。

リコスの仲間は全員死んだ。仲間たちを1人で埋葬した。ここに来たのは本意ではない。その眼に感情を映さないまま淡々と話すリコス。

そんなリコスを“アパトイア”感情のない人間だといい、

「やはり世界は昔のままだった」

と、意味深に呟く長老たちのもとに、予期せぬ来客が。

サイミアを使って窓から長老室に飛んで入って来たオウニ。外の世界を見るためにリコスを誘拐し、窓の外から盗み見をしていたチャクロも捕まえ、笹舟へ。偵察隊に参加していたチャクロに、島の案内を命じるオウニ。

泥クジラについて書きたいことはたくさんある。日干し煉瓦を積み重ね、泥で塗り固めたおもちゃのような塔の城に、たくさんの人たちが寄り縋り生きてきたことを広漠たる世界に暮らしてきたあなた方はきっと驚くだろう。

「この島が私たちの大事な世界の全てだった。」

私は何があっても、起こった全てのことを書き続けようと思っていた。

決意に満ちたチャクロの瞳は夕日の向こうの流れ島を見つめる。世界の真実を求め、3人は島へと向かう。


第二節『鯨(ファレナ)の罪人たち』

チャクロは感情のない兵士“アパトイア”であるリコスに、泥クジラで暮らすよう薦める。だが、「飛蝗現象」が泥クジラを包んだ翌日、不穏な来客が姿を現す。

公式HP引用

流れ島へとたどり着いたチャクロら3人。リコス誘拐及び無断での流れ島上陸の主犯格オウニは島の様子を見て唖然とする。何も無い廃墟同然の場所。思い焦がれていた世界はこんなものなのか…オウニはリコスに詰問する。

“ある場所”に歩き出すリコス。付いた場所は無数の刀が地面に突き刺さる“墓標”だった。友達や仲間の墓を1人で作り続けていたリコスを“魔女”と称するオウニ。
あまりの無残さ、悲しみに涙を流して祈りを捧げるチャクロ。

廃墟内へと向かうリコスに着いて行くチャクロとオウニ。廃墟の奥底にあった、いや、そこにいた生き物。不気味な形をした生き物“ヌース”

その生物に付けられた名前は“リコス”

そう、リコスとは少女の名前ではなく、この生き物に付けられた名前だったのだ。
魂の形、人の感情を吸収して成長する生き物。少女らは自分たちの感情を栄養分として与え続けてきた。

だからリコス(少女)には感情がないのだ。感情は世界を滅ぼす。だからヌースに感情を預けた。

感情のない人たちが心のないアパトニアを使って、終わらない戦いを続けている、それが外の世界なのだという。

人の心を奪う生き物 ヌースに触れてしまったチャクロは何百、何千という人間の感情、記憶、心を見てしまう。直接、脳内に流れ込んでくる無数の記憶。それはまるで、その混沌はまるで書くことを抑えられなくなったときに浮かぶ情景そのもの。

自分の感情がヌースに奪われそうになったとき、1人の少女の姿がチャクロの頭をよぎる。チャクロの腕を掴み引き上げるリコス。感情のないはずの少女がチャクロを助けたのだ。

無断で泥クジラを抜け出したチャクロとオウニは体内送りになるが、チャクロのみ罪がなかったとして早々に釈放となる。(本当は結構乗り気だったが…)

泥クジラの周囲には“ホシボシバッタ”と呼ばれる大柄のバッタが生息している。群の数が増えると長期移動に適した姿へと変化し、深夜に光を発しながら大移動を始める。泥クジラの住民はこれを“飛蝗(ひこう)現象”とよんでいた。

数年周期で発生するこの現象を少しでもいいところで見ようと、住民は高台を目指す。

リコスにも飛蝗現象を見せてあげたい、そんな思いからチャクロはまたもやリコスを無断で連れ出してしまう。(コラコラ)
サニたちとともに高台を目指すチャクロとリコス。道中、リコスに泥クジラで暮らすことを進めるチャクロ。涙を流すリコスはアパトニアなどではなく、感情があるただの1人の少女なのだ。

そして、そんなリコスにばかり優しくするチャクロにヤキモチを妬くサニがとても可愛いのが今回1つ目のハイライトですね。

泥クジラの上空を飛ぶ無数のホシボシバッタ、はじまった飛蝗現象。その景色はあまりにも幻想的に泥クジラの全てを照らす。

翌日、なにやら、ただならぬ様子のリコス。長老たちに伝えたい大事なことがあると申し出るも、島のお偉い方は少女の願いを拒絶する。
そんな長老たちに代わってリコスの申し出を聞くスオウ。

「ここから逃げて!できるだけ早く!」

この島は…

ファレナは…

あなたたちは…

「“ファレナの罪人たち”は狙われてる」

リコスの言葉の意味がわからないスオウ。

一方、島の外では…

サイミアの力で、砂漠から突如として浮かび上がった巨大な飛行船のような乗り物。乗組員はピエロのような仮面をつけた無数の兵隊たち。そして兵士たちが持つ銃は泥クジラの人々へと向けられる。

いきなりだった。畑仕事のため外に出ていたチャクロとサニたちに浴びせられた銃弾の雨は、咄嗟に少年を庇った少女の体を容赦なく貫く。

私の記録係としての公式の記録は、このひがさいごとなった。
この先の泥クジラにまつわる記録は、私の個人的な…日記である。

え…、えっと、サニ?生きてるよね、死んでないよね?

リコスに優しくするチャクロにヤキモチを妬いたり、チャクロと手が触れあっただけで赤くなったりするサニが本当に愛らしかったんです…。そんなサニの姿がもう見れないなんて嫌だ…。

あと2話は何と言っても、“飛蝗(ひこう)現象”。なんという映像美。とても美しい画面でした。

Netflixで配信されているので、見逃してしまった方は是非!

あとがき

1話感想&ネタバレ、抑えたつもりでしたがそれでもこのボリュームと情報量。とりあえずこの感想書くために3回は観ましたが、全く飽きない、どころか、観る度に発見があって、細部にまで並々ならない拘りが感じらます。まさに、美は細部に宿るを地で行くような素晴らしい作品です。

細部までこだわった美術、独特な世界観とキャラクター、豪華声優陣の本物の芝居。とてもとても丁寧に作られた強度のあるアニメーション。

砂の海に満ちた世界のファンタジー。この物語が今後どう広がっていくのか、原作未読組なので全く予想もできませんが、とにかく、以降も面白いであろうことは間違いありません。