ドレスコーズ 志磨遼平の魅力について13000字以上で徹底的に語り尽くす。【随時更新】

✳︎2017/3/5 追記

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志磨遼平の魅力を徹底的に語り尽くす、果たしてそんなことが可能なのだろうか。

だって、彼には魅力が多すぎる。

魅力が服着て歩いてるような男だ。

でも、彼の魅力をなんとか言葉にしてみたい。伝えたい、彼の魅力を。

志磨遼平の超シンプルプロフィール

■名前:志磨遼平(しまりょうへい)
■生年月日:1982年3月6日
■出身:和歌山県和歌山市
■身長:183cm
■血液型:A
■好きな食べ物:焼肉
■愛煙家
■煙草の銘柄:Winston(旧CASTER)
■外見的特徴:長身痩躯・色白・天パ・髪の毛と瞳の色が茶色い・指が異様に長細くとても綺麗・魔女っ鼻
■内面的特徴:終わらない思春期

志磨遼平の詩世界

志磨遼平の詞は、ロマンチックだ。まるで彼自身ような詞である。

彼の書き出す歌詞はどこまでもロマンチックでこの上なく美しい。ときにユーモラスでときに切なく儚い、そしてときに自分自身を嘲り罵る。そんな歌詞にぼくらは常に心揺さぶられる。まるで優れた文学作品のような彼の歌詞がぼくは大好きだ。

そう、つまり、彼の歌詞最大の魅力は、美しく綺麗な日本語であることだと思う。そしてその日本語の詞がきちんと曲に乗っかっているのだ。これってたぶんとてつもなく難しい。輸入文化であるロックンロールに日本語詞を違和感なく乗せるのだから。

基本的に彼の詞は、人間が生きている限りずっと感じ続ける喜び悲しみ怒りを歌っていることが多いように思う。つまりそれは人類全体のことで、個々のことではない。しかし彼が彼自身のことを歌うとき、彼の詞の魅力は爆発する。とにかくその時のは破壊力たるや、尋常ではない。

毛皮のマリーズ時代の名曲『ジャーニー』と『ビューティフル』は、彼が彼自身のことを歌った曲だ。

 『ジャーニー』
keep on 不安定 さらば安定
なにはなくても、な? あと アレさえあればいいよ俺一人 立ちむかう 世界はスーパーNew
誰一人 歯むかうヤツ 生還不可能 NO NOこの線を越えれば 生きて帰れないかも
それがこの生命線 そうこれが生命線止まると 俺 死ぬから
止まると 俺 死ぬから
止まると 俺 死ぬから
止まると 俺 死ぬから
 『ビューティフル』
私は 人生複雑骨折 ドラマ型統合失調症
ヒステリックだが ストイック ヒロイック、
パセティック
ビューティフルに ビューティフルに
生きて 死ぬ、ための 僕らの人生 人生!
ビューティフルに ビューティフルに
生きて 死ぬ、ための 僕らの人生 人生!
 

志磨遼平の紡ぎだすメロディ

志磨遼平の作曲には、往年のロックからの引用やオマージュ、パロディが数多くみられる。
1つ注意して頂きたいのは決してパクリではないということ。何でもかんでも、さも鬼の首を取ったようにパクリだなんだとつばを撒き散らしながら喚くのはただの阿呆で無知だ。

…あ、すみません。ちょっと熱くなりました。

ぼくは彼から教えてもらった。ロックンロールの大事なことや、ロックンロールそのものを。今の日本にはあまりいない。というか、全然いない。「ぼくは○○に影響を受けてー」とか、「〇〇の○○っぽいものをイメージして作りました」とか発言してくれるアーティストは稀有だ。彼はそういったことを話してくれる数少ないミュージシャンの1人だ。ぼくは彼を入り口にしてロックの森に足を踏み入れた。彼の言葉・音を辿ってずっとロックを冒険している。感謝している。

ちょっと話しが脱線してしまいました。すみません。

基本的に彼の紡ぎだすメロディはとてもポップで可愛らしく、そして普遍的だ。ざっくり言うとポールマッカートニーみたい。いつの時代、どんな人たちにも愛されるもの。“優れた音楽は時間に捕らわれない。”とは、志磨遼平本人の発言である。

志磨遼平のファッション

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とにかくお洒落。やっぱりこだわりがとてつもなく強いんだろうな。ロックバンド、ロックアーティストは見た目が98%だとぼくは常々思っている、1リスナーとして。もちろん楽曲の良さは大前提だ。その上でジャケット、アー写、ステージでの立ち振る舞いすべてを含めた見た目が重要。ロックスターはカッコよくあらねば。

作品ごとにコンセプトを決めて、楽曲にリンクしたアー写からジャケットからすべてをトータルプロデュースするミュージシャンは今では稀になってしまったが、作品とは本来それらをひっくるめてリスナーに発信するというのが常だったはず。だから往年の名盤のジャケットはどれもカッコいい。彼はそのことをよく知っている。ロックスターはいつだってみんなの憧れでありアイドルなのだ。

大きめサイズのTシャツの襟を切り取りダルンダルンにして着る、通称志磨カット。これ、どれだけ真似したことか。

これはぼくの個人的な意見だが、お洒落な人とはつまり、自分の似合う服を熟知している人でだ。志磨遼平という男は自分の似合う服をよく分かっている。

そしてさらに言えば、お洒落な人というのは、その人の服装だけで、その人の個性・人柄・キャラクターが分からせてしまう人だ。つまり人となりが、その人の服装にダイレクトに表れているということだ。繰り返すが志磨遼平という男は自分の似合う服をよく分かっている。そして彼のキャラクターがそのまま服装ににじみ出ている。

まぁそもそも長身細身であるからして、なにを着ても似合うのだろうが(羨ましい)

何でも似合う彼は便所サンダルが世界一似合う男である。映画の完成披露試写会で、あの前田敦子の隣に便所サンダルを履いて立った男は、後にも先にも彼ただ一人だけだろう。

ちなみにぼくが、彼の服装の中で1番好きだったのが、細身の黒スキニーにレペットのzizi(ホワイト)の合わせだ(レペットはフランスの老舗バレエシューズブランド)。バレエシューズ、それも白色をチョイスするところが、なんだか本当に彼自身をよく表していると思う。後に知ったが、白のレペット、これはフランスの詩人、セルジュゲンズブールの真似なのだそう。

なるほど。

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ちなみに、志磨遼平の1番のアイドルはジョニーサンダースなのだそう。

なるほど。

志磨遼平の考え方

これはぼくが語るのも野暮というものなので、少しばかり彼の発言を抜粋してみたい。

彼の考え方、彼の思考回路、つまりは彼の脳みそが大好きだ。

ロックンロールってのは、大きな流れに逆らうこと、自立していること、そしてホントのことをユーモアの中にかくすこと

それは、文化的な奥ゆきがとても深いこと

古くからの音楽のエッセンスをくんでいること、作者が影響をうけたものがふんだんに盛りこまれているもの

だから、1曲聴いただけでその人のことを とても気の合う親友のように思えるものだ

そんな音楽がぼくは大好きだし、今の日本にはなっかなか存在しねえな まあ気の合う親友なんてなかなかできないもんだ

志磨遼平の声

志磨遼平最大の特徴とも言うべき声。嫌いな人は嫌い。というか万人受けは決してしない声。そのことには本人も自覚ありである。そもそもボーカリストにとって声が変ってこれはもう死活問題。致命的弱点である。だが彼はそれを弱点どころか無二の武器にしてみせる。いや、結果的にそうなっているだけなのだろうか…

とにかく、あの変な声で歌われるからこそ、彼の曲はどうしようもなく心に響く。

思うに、彼の作るメロディは本来とても人懐っこくてポップなものである。つまりは、万人受けする大衆的なメロディなのだ。が、その人懐っこいメロディを、あの変な声で歌うことによって、ズレが生じる。ぼくらの脳が違和感を覚える。そして次第にその違和感に溺れてしまう。

このズレ、違和感こそがぼくらの心を揺さぶる正体なのではないだろうか。

志磨遼平のパフォーマンス

彼はステージですべてをさらけ出して、人間の喜怒哀楽すべてを逆撫でする。ステージ上での彼は完全に役者である。それも超一流の。ステージ上の彼とステージ外での彼はおそらく全く違う人物だ。

もちろんプライベートで接点があるわけではないので分からないが、トークショー等を見る限り全然違う。

ぼくは、アーティストには2種類あると思っていて、1つはステージとステージ外でもまったく変わらないキャラクターの人。2つ目はステージとステージ外では完全に別人な人。彼は間違いなく後者だ。

まるで何者かが乗り移ったかのように彼はステージで歌い、踊り、叫ぶ。彼の身体は、いわば装置となって、ぼくらに曲を届けるためだけに使用されているように見える。

その姿がどうしようもなくかっこよくて悲しくて、だからぼくはいつも彼のステージを見て泣く。

志磨遼平の活動遍歴

志磨遼平の活動遍歴、及びそのときごとの彼の魅力を、彼が生み出した数々の名曲・名作とともに、語り倒したい。

1.毛皮のマリーズ期初期

戦争をしよう

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Stoogesバリの激音炸裂な『LOVE DOGS』で幕をあける、今作。続く2曲目、『BORN TO MEET YOU』、3曲目の『ロマンチック』も凄まじい。何がって、音の悪さが。もちろん狙っている。あえての音の悪さだ。これは是非ボリューム全開で聴いてもらいたい。何にでも勝てそうな気がする。この冒頭三連打でこのアルバムはもはや勝ったも同然だ。

ラスト曲『BOYS』は、まんまBowieのDiamondDogsのイントロから始まり、あとは完全にストーンズライクな曲調で幕を閉じ閉じる。“I cant get no Satisfaction、なんかずっとイライラしっぱなしなんだ”。居ても立っても居られない、何か分からないけれど大きなものに対する怒りや焦り、若者たちの熱き思いがつまりにつまった名盤である。

「戦争をしよう」というタイトルは、なにも暴力的で物騒な意味ではなく、“好きなあの子にちょっかい出されたらそりゃ黙っちゃいられねぇ。だからぼくらは大切なものを守るために立ち向かうんだ”という思いが込められてる。

 MY NAME IS ROMANCE

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ポップ、どこまでもポップでロック。

このアルバムは「Faust.CD.」と対になっている作品だが、こちらはいわば、人間の綺麗な部分、表の部分を書きだしたアルバムである。

往年のロックに敬意を払って自分の曲に落とし込むそのセンスは本当にすごい。

個人的にマリーズでもっとも聴きやすいアルバムだ。

Faust.CD.

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「マイネイムイズロマンス」と対をなすアルバム。

「マイネイムイズロマンス」が光のアルバムなら、このアルバムは人間の暗黒面、闇の部分を詰め込んだアルバムである。

だけど、『おはようミカ』にみられるユーモアも忘れてはいない。『おはようミカ』は曲もMVもまんまストーンズライクなノリが最高だ。

そしてこのアルバムには毛皮のマリーズ屈指の大名曲、『ジャーニー』が収められている。この曲は、志磨遼平の志磨遼平による志磨遼平のための曲だ。誰のためでもない、彼が彼自身自分のために作った曲。志磨遼平VS世界。

彼が彼自身を歌った曲なのに、その言葉や音に多くの人が共感し勇気づけられる。どうやら世の中には、彼と同じで少しおかしな人が多いらしい。ぼくはこの曲を就活や試験に向かう道すがらよく聴いていた。なんでもやれそうな気がするから。

この曲の演奏は極めてシンプル。だからこそ終盤への盛り上がりと歌詞の意味がダイレクトに浮かび上がってくる。

“止まるとおれ死ぬから”
彼のこの言葉に嘘がないことは、彼の活動遍歴を見れば一目瞭然である。

2.毛皮のマリーズ期中期

Gloomy

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彼曰くこのアルバムはショック療法である。一度はロックンロールの無力さに絶望し、ロックンロールを捨てた彼が再び地獄の底から甦り作り上げた、ロックンロールに対するロックンロールの復讐のアルバムである。

これは真面目なビートルズファンが聴いたら怒るだろうなーと思う曲も多数(ぼくは大爆笑しましたが)そのぐらい全編ビートルズオマージュ、ビートルズ愛に包まれた作品。

腐った私にもう一度音楽への情熱を取り戻させたのは、かつて私に初めて音楽の素晴らしさを教えたザ・ビートルズの音楽でした。いや、正確にいえば「憧れのビートルズになりきる」ことが私のリハビリテーションのようなモノだったのだと思われます。

 このアルバムの曲は全て1ヶ月内に作られています。もちろん詞・曲からアレンジ、録音に至るまで全てです。機材やアレンジ、録音法からレコーディング期間中のお洒落に至るまで、このアルバムはビートルズや60年代音楽の手法・精神を踏襲しています。

ここまで徹底的なビートルズ愛を見せつけられて、はたして彼を批判できる人などいるのだろうか。

毛皮のマリーズ

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メジャー1stアルバム。んー、良い。めっちゃ良い。毛皮のマリーズの作品で最もよく聴くのはなんだかんだでこのアルバムだ。

1曲目、『ボニーとクライドは今夜も夢中』はもう曲名からして最高だろう。続く2曲目、『DIGIT』。1曲目と同じKeyで完璧な流れ。続く3曲目、『COWGIRL』は70sストーンズの香りがプンプンするゴキゲンロックンロール。演奏は完全一発録り、ギターすらオーバータブなしのライブ感溢れるナンバー。ああ最高。

彼の作品はどの作品も冒頭3曲目の流れが本当に素晴らしい。いや、もちろん全曲最高だ

。ただ、3曲目までですでに掴みはOK!と、言わんばかりの完璧な曲順だなと、いつも思う。

持っていかれる。引き込まれる。彼の世界に。

この作品はメジャー進出にあたって、まるで「毛皮のマリーズとはこういうものです」と、自己紹介をするかのような挨拶代わりの1枚ゴキゲンロックンロールから泣けるソウルバラードまで、曲順含めて全く飽きさせることなくラストまで聴かせるのは、さすがの一言。2010年の名盤だ。

3.毛皮のマリーズ期後期

ティンパンアレイ

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志磨遼平以外のメンバーを排して作られた作品、別にメンバー間の仲が悪くなったとかそういうんじゃありませんよ。

志磨遼平がバントという装置・制限から解き放たれて完成させた作品。バイオリン、オーケストラ、その道、その楽器のプロを招集して完成させた作品。どこまでも純粋で豊潤で贅沢、音楽そのもののようなアルバムだ。

彼はこの作品を東京のための作品だと、そう発言していた。たしかにそうだろう、c列車で行こうなんて中央線だし。東京の贅沢で煌びやかな街並みが目に浮かぶ。だからいつも、この作品を聴くと東京に住んでいる人が少し羨ましくなる。だからいつも、東京に行くときにはこの作品を聴いている。

かつて、はっぴぃえんどが風をあつめてで東京の街を描き切ったように、今度は志磨遼平が、2010年代の東京をこの作品で見事に切り取って見せた歴史的名盤だ。

the end

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毛皮のマリーズラストアルバム

メジャーデビューしてわずか1年半での解散。

事前情報一切無し。曲はおろか、ジャケット写真やアルバムタイトル名までもすべての情報がシャットアウト。圧倒的、なんという幕引きだろう。

これほどまでに綺麗な死に際を見せつけたバンドがかつていただろうか。これほどまでにドラマチックな死に際を見せつけたバンドがかつていただろうか。

このアルバムで重要な曲は、2曲。『HEART OF GOLD』と『THE END』だろう。
“Don’t Worry Baby, Baby もう雨は止むだろう
そして 朝日が昇るさ”
旅立ちだBaby, Baby ランプはいらない
夜道を照らすのは そう ハート・オブ・ゴールド
グッバイ マイ・ダーリン これが 最後だ
―ああ、素晴らしき人生!
さらば 僕の青春の光
さらば 僕らの美しい日々

でもぼくの1番好きな曲は『上海姑娘』。ジャーン。

4.ドレスコーズ期前期

Trash

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毛皮のマリーズ解散後、志磨遼平が新しく組んだバンド、その名も【ドレスコーズ】。良いバンド名だ、【ドレスコーズ】。良いバンドとというのは、やっぱりバンド名からしてカッコいい、例外なく。

さて、この『トラッシュ』。「あぁーもう、こんな曲持ってこられたら毛皮のマリーズ解散についてどうこう言えんわ。」というような曲。最高の一曲。

志磨遼平がギター、ベース、ドラムその楽器の1番最高なプレイヤーを掻き集めて作り上げたバンド、【ドレスコーズ】
新しくはない、新しくはないが唯一無二。このバンドだけの音が鳴っている。それってどんなことより難しいと思うのだが、どうだろうか。

地球上にいっぱいバンドがいるじゃないですか。そのバンドがみんな組んだばっかりの時に持ってる素晴らしいもの?期待、夢、可能性とか、逆に不安だったり、焦りとか、そういう生まれたてのバンドに必要なものが全部入っている感じがして。すごく感動しました。

the dresscodes

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満を侍して発売された記念すべき1stアルバム。

最高だ。最&高だ。

1stアルバムにセルフタイトルを付けることができるのはイカしたバンドの特権と、志磨遼平は発言していたが本当にその通りである。

これほんまに日本のバンドか?!海外の、イギリス辺りのスーパークールなインディーバンドやろ!って言いたくなる。

全編通してひたすらにかっこいい。毛皮のマリーズの時のようなユーモアは影を潜めているが、そのぶんひたすらにロックだ。全編にわたってヒリヒリした焦燥感が漂っている。そしてその焦燥感は、ラスト2曲の『(This Is Not A)Sad Song』、『1954』で爆発する。いや、違う、正確には爆発はしない。爆発する0.1パーセント手前。沸点ギリギリ、破滅寸前である。彼ははこの状態を、夕方5時のチャイム、おしっこ漏れそうな感じ。と表現していた。

『終わってしまう、時間を止めたい、でも止まらない』『止めなきゃ止めなきゃ』と思いながら焦るんですけど、どんどん流れていってしまう。で、『どうしようどうしよう』っていう感じ。『その感じで演奏したいの』って。『どうしようもないくらいに我慢しながら演奏したい』って言ったら、なんと1回でできたんですよ、みんな、それが。もう『スゲエエッ!』ってなって。僕、日本人の音楽でそういうの聴いたことないです。外人ならある、たとえばジョニー・サンダースって、そう聴こえるんですよ。ほかにはジョナサン・リッチマンとか、リバティーンズとかって、破綻しそうでギリギリのところで保ってるのか、半分、破綻に足を突っ込んでるのかっていう。ああいう音楽がね、できたんですよねえ・・

ぼくが、彼の全キャリアの中で最も好きな曲、(This Is Not A)Sad Song。上のインタビューを読んで、なるほど、と納得した。
どおりで日本のバンドっぽくないわけだ。だってこの曲の持つ雰囲気はまさに、リバティーンズのそれだ。そんなもん日本語でやられたらカッコいいに決まってる。

ここでこんなこと言うのもアレだけど、正直、このアルバムは聴くのがしんどい。もちろん悪い意味ではなく。1曲、1曲に込められた熱量、パワーが凄まじい。生半可な気持ちで聴いたら、ぶっ飛ばされる。1発KOだ。

カッコいいロックンロールアルバムをお探しの方、ありますよ、これがそれです。

トートロジー

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メジャー2ndシングル。ロッンロール爆発!

“これがロッンロール、わかんないやつは全員くたばれ!“だ。

どれだけこの曲に救われたかわからない。自分がふがいなくて泣いた夜も、あの娘に振られて泣いた夜もこの曲を聴いた。陳腐な失恋ソングじゃダメなんだ。君は君だ。男だろ泣くなと歌ってくれるこの曲じゃないとダメなんだ。

カップリングの『フォークソングライン(ピーターパンと敗残兵)』『Zombie』の2曲も最高だ。
特に3曲目の『Zombie』は、4人でのドレスコーズらしさが最もでているロックダンスナンバーだ。怪しげで妖艶で、煙のように実態がなく、もやがかかっている。

まるで地獄の底で踊り狂っているかのようなロックンロール
ちなみにトートロジーとは、同義語、または類語、同語を反復させる表現技法である。

バンド・デシネ

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メジャー2ndアルバム。1作目のようなヒリヒリムードは開けて、急激にポップでロマンチックになった。志磨遼平の生来の個性が顔を出してきた。
このアルバム、全部シングルカットできるんじゃねってくらい凄まじい出来である。

トーキングスタイルで始まる『ゴッホ』なんて鳥肌ものだ。ただ、このアルバムがバンド崩壊への亀裂を生んでしまったのも、今となってはうなずける。

芸術は時間に対してどれだけ耐えうるかという部分が大きいので、100年、200年経ってまだ進化が損なわれていないものであるべき。それに対してポップは「今」。今、意味があるか。今、価値があるか。そういうものを僕らは書いては忘れ、書いては忘れすれば良いんです。勿論良い曲を書こうとは思いますが、500年経ってからやっと良くなる曲には興味がない。

5.ドレスコーズ期後期

Hippies E.P.

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最終作。ドレスコーズ解散。正確には志磨遼平1人を残し3人のメンバーが脱退である。この作品のリリースと同時に飛び込んできたこのニュースを聞いてから、ぼくは一週間ほどまともに飯も食えなかった。なんだ一週間だけかよと思うかもしれないが、人間そんなもんだ。

実はこの作品は未だにあまり聴けていない。あの時のことを思い出すのが嫌だからだ。

だけど優れた作品であることは間違いない。というかなんもうすごい。すごすぎて意味わからん。一体この5曲を完成させるためにどれだけの労力を費やしだのだろう。想像もつかない。

志磨遼平はこの作品を作るにあたって“ダンスミュージックの解放”いうスローガンを掲げていた。聞いた時は、ん?と思ったけど、よく考えたらロッンロールだって優れたダンスミュージックだった。

この作品で1番好きなのは、『ドゥー・ダー・ダムン・ディスコ』。踊り狂えるぜ。

6.ドレスコーズぼっち期初期

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メンバー脱退後志磨遼平が作詞作曲、レコーディングまでをわずか1ヶ月間で完遂させた作品。いや、天才か。

人間やはり追い込まれるとすごい力を発揮するのだろうか、素晴らしい作品である。

今作、ベース以外の楽器はほぼ彼の演奏である。“おかしな声で 歌う彼を”、“さぁ!カスのお出まし、とくとご覧あれ!”など自身を自虐った歌詞も多数。

ぼくはこのアルバムを“1人ティンパンアレイ”だと思っている。志磨遼平とは本来ポップで可愛いらしい人であり、1人になるとそれがニョキッと顔を出す。毛皮のマリーズのティンパンアレイもほぼ1人で完成させた作品だったこの作品がティンパンアレイと違うのは、決して本作が煌びやかで贅沢な作品ではないということだ。

本作はどこまでも寂しくて、孤独で、現実を直視できずにいる1人の悲しい男の作品であるということ。

しかしこうした絶望的な状況下にこそ、創作の美は宿るのだろう。メンバーが自分以外脱退した。バンドを壊したのはこれで2度目。そんな男が次にどんな言い訳をするのか。「こんな状況で作る音楽が面白くならないはずがない」と、彼は言った。まったく自分のことをなんだと思っているのか。彼は良い音楽を生み出すためなら自分自身も喜んで犠牲にするのだろう。

7.ドレスコーズぼっち期後期

オーディション

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現段階での後期と位置付ける。とにかく、とにかく前作の『1』とは180度異なる作品だからである。

オカモトズ、おとぎ話、キングブラザーズ…彼が1人になってからわずか2年足らずの間なのに、彼のサポートメンバーはもはや挙げればキリがない。バンドを作っては解体し、作っては解体を繰り返してきた彼。この作品は、一人ぼっちの彼を支えてきた名だたるミュージシャンとともに作り上げた作品だ。本当に一人ぼっちの前作とは対照的。一人になった途端にこの振れ幅である。

これってとても少年漫画的だと思う。昨日の敵は今日の友みたいな。仲間と1つのものを作り上げるって、少年漫画の王道だ。

ほぼ全曲でギタリストが異なる本作、1曲1曲を参加メンバーに合わせ、メンバーのことを思い、曲を書いたと彼は語っていた。だからこの作品は今までのどの作品よりもポップでカラフルだ。彼が誰かのことを想い曲を作るとき、彼の曲には彼本来のポップさが前面に現れる。とても可愛らしい作品であると同時に、“2015年”その激動の年を鮮やかに切り取った作品だ。

8.2016年のドレスコーズ

人間ビデオ

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映画「GANTZ o」の主題歌、その名も『人間ビデオ』。またとんでもないもの作ったなというのが率直な感想。ヘビィーでスピード感ある曲というオーダーがあったらしいが、彼は彼の中のヘヴィ感を総動員させたところ、キングクリムゾンやイエスとか、そういうプログレっぽいものが出てきたのだそう。

「ぼくはゼロから1を生み出すというよりは、限りなくエディットという感覚、数あるアーカイブの中からセレクトするというような感覚」

彼のこの感覚がぼくは大好きだ。

そして、この「人間ビデオ」何よりGANTZにマッチし過ぎている。ちょっと怖いくらいに。

未だかつてこの曲ほど作品とシンクロし共鳴し一つになった作品があっただろうか?

ぼくは知らない。

こういう音楽をやってきた」「こういう癖がある」みたいな自分のストーリーを一切取り除きたいと思ったんです。原作ファンとして見たら、そういうのって全部不純物ですから。純粋に僕が「GANTZ」を読んで感動したものだけで、音楽を構成したいなと思ったんです。

コミックジェネレーション(新録音版)

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さて、そしてこの人間ビデオのカップリング曲も問題で、映画「溺れるナイフ」の主題歌に抜擢されているのは大変喜ばしいのだが、これがなんと、毛皮のマリーズの大名曲『コミックジェネレーション』その再録版であるというから驚いた。

囁くような歌声からはじまり、サビではいつもの彼のニャーニャー声。

彼が、この映画の主人公であるコウと夏芽のために歌った新録版、『コミックジェネレーション』。歌詞がどこまでも遠く響いているような気がした。

自分のためじゃなく映画の主人公の男の子と女の子のためにこの曲を歌うという、ただの僕の心持ちの問題なんですけどね。メロディも歌詞も一緒で、演奏も同じにするけれど、もう一度ふたりのために歌う

さらに映画「溺れるナイフ」には、役者として銀幕デビューする。しかもまぁまぁな主要キャラである。

でも何も心配することはない。カッコいいバンドマンは映画の1本や2本出るものだ。ミックジャガー然り、デビッドボウイ然り。あのキースリチャーズだって、ディズニー映画に出演してるし。

新時代のドレスコーズ・志磨遼平

「前置き」も「あとがき」もない、いきなり絶頂から始まる原始的な反復ビートで、精神世界だけは徹底的に醒めている。こういう冷たいファンクをぼくは今やりたい。

志磨遼平

最新アルバムの発売日が2017年3月1日に決定。さらに発表された全国ツアー。

昨年の『12月24日のドレスコーズ』で新曲を2曲浴びることができましたが、

もう、ものすごいです。ヤバいです。ヤバいしかいえない。ヤバいです。

披露された新曲の名前は、

・common式

・エゴサーチ・アンド・デストロイ

志磨遼平は毎回毎回自分の作品を自画自賛しますがおそらく今回は、次元が違います。

日本のポピュラーミュージック史を変えてしまうような、あるいはそれに名を刻むような、そんなとんでもない作品であることは疑いようがありません。

ドレスコーズ 5thアルバム『平凡』

発売前

2017年1月20日、日本全国の志磨遼平・ドレスコーズフアンにこれほどまでに驚きが駆け巡った日はないでしょう。

衝撃的な新ビジュアルとともに発表されたドレスコーズ5枚目のアルバムのタイトル名。

その名も『平凡』

志磨:テーマはね、まずざっくり2つあって。ひとつは『普通の人』。『平凡』とか『ノーマル』ってかんじだね。

志磨:もうひとつは、『消えていく文化、消えていく場所』。ぼくらの偉大な先人たちがせっかく残したのに忘れ去られていくものたち、だね。

…昨年12月、かれは次のアルバムのテーマをたずねられこのように答えていた。

それにしても髪型に関しては、これほどわかりやすい伏線を提示されていたにも関わらず驚かされた…。
だってまさか、だれも予想できないだろう。

人を驚かせることが天才的に上手い男だ。

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…かれは、2014年12月発売された雑誌でこのように答えていた。

発売後

2017年3月1日は、日本の音楽史にとって、いや、世界の音楽史にとって歴史的な1日になった。

なぜならこの日発売されたドレスコーズ5枚目のアルバム『平凡』は、未来永劫語り継がれる名盤だからである。だからである、と言い切ってしまえるほどの圧倒的名盤感。誰がなんと言おうとこれは名盤です。

手にして以来、連日連夜聴きこんではいるが、全くわけがわからない。この作品を全く飲み込めない。だからレビューを書こうにも書けない。

でも、名盤なんです。それだけはたしか。なんか名盤って名盤のオーラみたいなのがあるじゃないですか?『平凡』からはその気配が漂いまくってる。

この作品を理解するまでにどれだけの月日がかかるかはわからないけれど、いつかちゃんとしたレビューを書きます。

この作品が内包しているテーマを全く理解できていないぼくでも、今言えることが2つだけですが、あります。

1.志磨遼平が3年前に打ち出したスローガン、『ダンスミュージックの解放』は、まだ終わっていなかったということ。(今作が完成形だと感じた)

2.“20世紀愛好家代表”志磨遼平は、愛してやまないおかしな時代に別れを告げた。

ということ。

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