日本アニメの最高峰「 君の名は。」を観るべき6の理由

2016-09-07 (16)

観てきました、映画「 君の名は。」

やっぱり、めっちゃ良かったです。
「やっぱり」っていうのが重要。新海監督を信用しきっておりますから。
しかしついに新海誠監督は今作で、日本アニメ映画の最高到達点へ遂にたどり着いた感ありますね。
ぼくなりの感想と考え、監督のインタビューを交えて「 君の名を。」の素晴らしさをお伝えできたらと思います。

時空を超えた作品「 君の名は。」

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この映画大きなテーマである『時間の超越』。
小野小町の「思ひつつ寝ればや人の見えつらむ 夢と知りせば覚めざらましを」という1000年
以上も前の和歌にヒントを見出したという新海監督。監督が1000年以上前の小野小町の和歌からヒントを得ているという時点で、この映画そのものが、すでに時間を超越しているということが言えるのではないか。遥か昔の作品を現代の作品へと落とし込む。もちろん創作のおいてそのような技法というのは常々行われているのでしょうが、この映画の大きなテーマが『時間の超越』なだけに、平安時代の歌から着想を得たという事実には印象深いものがあります。
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そう考えるとぼくらも、日々、時間を旅してきた何かと出会いながら生きているといえますよね。
こうしている間にも今は過去になり、この記事もぼくが投稿記事を押した瞬間から過去のものとなります。この記事は過去のぼくが未来のあなたに向けて書いたものです。そして、あなたがもし今これを読んで下さっているのだとしたら、それってもうつまり、この文章が時空を超えたと言ってもいいと思うんです。誇大表現かもしれませんが。
ぼくらは常に過去からやってきたものと出会い、隣り合わせにして生きています。身に纏っているこの服も、キーボードを打っているこのパソコンも、毎日乗る電車も、イヤフォンから流れるこの曲も、全部昨日までのだれかが未来のだれかのために作ったものなんですよね。
だから、僕らは常に時間や時空を超えた出会いをしてるんです。
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今は名前も顔も知らないけど、これから先、未来で出会う人の中には、将来大切に想う人がいるかもしれない。ぼくらの日常は、常にそういった可能性、奇跡で溢れかえっている。
だから三葉と瀧のこの物語は、きっと誰にでも起こり得ることなんです。

エンターテイメントのど真ん中

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単純に楽しかったと言ってもらえるものを作りたいという、それ以上の動機はありません
 
喜怒哀楽の全方位を揺さぶることができるような作品を作れる
新海監督は“エンターテイメントのど真ん中”・”前作より少し大きな物語”をということを意識して今作を制作されたそうです。たしかに彗星やら少年少女の入れ替わりやらスケールはでかくなりましたし、ファンタジー感も増しましたが、それでも根本は全くぶれていません。『ほしのこえ』から何も変わっちゃいない。
YAHOO映画でのレビューは約8000件で評価は4.5。これはもうちょっと尋常ではないですね。ネットのレビューでこの高評価、どれほど多くの人の心のど真ん中を打ち抜いたのでしょうか。
根本・テーマを変えることなく、感動を大勢の人へと届けることができた理由、それは超ざっくりいうと以下の3つなのかなと思います。(背景がめっちゃ綺麗とかキャラの心情描写が丁寧だとかは、決して今作が初めてというわけではないのでここでは割愛します)

日本アニメ映画界最重要人物たちの起用

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新海監督が直球のエンターテイメントで勝負するために最も重要とされていたのが、キャラクターです。
アニメーションとして、より一般的になったということだと思っています。今まではいかに観客と入れ替え可能な人物にするかというところに焦点を当てていて、「顔なんかなくてもいい」という気持ちが初期になるほど強かったと思うんです。
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そうです。今作を観てまず最初に感じたのが、キャラクターの魅力です。上の監督の発言通り、今までの新海ワールドにおいては、極力、登場人物のキャラ付けがなされていませんでした。キャラではなく背景美術が前面に押し出されていました。しかし今作では、登場人物がいい意味でとてもキャラクターキャラクターしています。とても魅力的で愛おしいのです。
そしてこの功績は、主に二人の人物によるものです。
一人は、今作でキャラクターデザインを担当した田中将賀氏。田中氏は、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』や『心が叫びたがってるんだ。』など、キャラクターアニメーションを代表する日本アニメ映画界を代表アニメーター。
そしてもう一人は、作画監督の安藤雅司氏。『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』を手掛けたスタジオジブリ出身の、こちらも日本アニメ映画界のトップアニメーター。

田中さんのキャラクターは、コアなファンはいるけど、一般の人からすると実はまだ馴染みが薄い。言うなれば、深夜アニメに代表される、日本のアニメの尖った部分です。

それを、スタジオジブリなどのより一般に向けた作品をつくられてきた安藤さんが動かすことで、とても新鮮味のある画面になっている気がします

日本のアニメーションのさまざまな文脈を豊かに含んでいて、とても味わいのある画面になったと思います
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RADWIMPSの起用

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これほどの曲があるなら、ストーリーの中で音楽がイニシアチブを握る時間をつくらなくてはいけない」──そう思わせるほどの衝撃でした。それ以降、ビデオコンテと楽曲は並行してつくっていったんです。
やはり本作を語るうえで避けて通れないのが、RADWIMPSの存在です。
彼らは本作で劇中の音楽を担当していますが、劇中の曲って通常は演奏だけだと思いません?僕はそういったイメージがありました。しかし本作では歌入りの劇中曲が、なんと4曲。でも歌入りだからって作品から浮いているということはまったくありません。むしろ、これでもかってぐらいに、そこしかないというような絶妙なタイミングで歌が流れ始めます。

ビデオコンテをつくっているところに彼らの曲が上がってきて、実際に曲をあててみて、互いに演出や楽曲の試行錯誤を繰り返す。そういった作業を、1年半ひたすら続けていきました。

制作初期段階から携わっていたというRADWIMPS。監督とは喧嘩になることもあったそうです。互いの想いと拘りがぶつかり、溶け合ったからこそ、映像と音楽をこの上なくシンクロさせることができたのでしょうね。

さて、ここからは完全に自分事の一人語りです(笑)
思春期の頃に聴いていたバンドって、歳をとるとなんだか小っ恥ずかしくて、聴けなくなったりしません?僕は結構そういうのがあります。
RADWIMPS、もちろん現在も絶大な人気を誇っていますが、RADWIMPSの最初の直撃世代って多分ぼくらの世代だと思うんです。ぼくは今24歳ですが、中3・高1のころに“RADWIMPSってやばいバンドがいるらしい”って話題になったんですよね。で、その頃の時分はもう狂ったようにRADWIMPSを聴いてました。毎日毎日聴いてました。イヤフォンのボリュームを最大にして通学途中も、バイトの帰り道も、なんなら授業中も聴いてました(笑)
でもやがて高校を卒業して、色々なロックを聴いてくうちに、RADWIMPSを聴くことがなくなってしまったんです。新譜がリリースされたらチェックはするし、YouTubeで見たりはするけど、あの頃のような気持ちでは聴けなくなっていたんです。

たぶん聴かなくなったのは、小っ恥ずかしいというより、あの頃の時分を思い出したくなかったんですよね。それはたぶん、あの頃から全く成長していない自分に気づいてしまうのが嫌で。この記事書いてて気付きました。

でも「 君の名は。」をきっかけに久しぶりにちゃんとRADWIMPSを聴きました。
CDも買いました。

なんや、相変わらずカッコいいやんRADWIMPS。ほんで相変わらず変わってへんな、自分。

でもまぁ、変わらんままでも、まっいいか。と思えたんです。
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時間軸の完全コントロール

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この作品、中だるみというか、見ていて飽きるシーン、退屈するシーンが一切ないんです。少なくともぼくは初めから終わりまで、特に最後なんか、泣きながら拳握りしめながら観てました(笑)
『君の名は。』の上映時間である107分間をいかにコントロールするかは、僕にとっての大きな仕事でした。具体的に言うと、107分間の観客の気持ちの変化を、自分の中で完璧にシミュレーションする。過去の作品では把握しきれなかった時間軸を、今回は完全にコントロールしようと思いました

新海誠監督が描き出す思春期と人生

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思春期は自分の大切なことに気づかない時期、自分の大切なことを見つける時期であると思います。だから少年少女は常に焦り苛立ち何かに脅える、早くその大切なものを見つけたいのに、それがなんだか分からないからどうしていいか分からない。
探していたものに出会える人もいる、でも出会えない人もいる、出会ったのに忘れている人も、出会ったのに気づかなかった人も。いろんな人がいます。
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大丈夫。いつかきっと出会えるよ。何かを探し続ける、その気持ちさえ忘れなければね。
今作で監督はそう言ってくれているような気がします。そしてこうも言っている気がするんです。
たとえ思春期が終わってしまったとしても、のその気持ち、何かを探し続ける気持ちを持ち続けていて”、と。

人生とは常に何かを探す旅。探しているのは人なのか、場所なのか、仕事なのか、物なのか、それは分からないけれど。

良い音楽、良い映画を観るとこれだ!これを待っていたんだ!と思うことがあります。
この映画はまさにそんな作品でした。そしてそう感じたのはおそらく、ぼくだけではないでしょう。みんなが無意識のうちに求めていた映画、探していた映画、それが「 君の名は。」だったのです。だからこそ「 君の名は。」は多くの人に受け入れられているのです。

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人生とは常に何かを探す旅。何を探しているのかは分からない。でも、いつかきっと探し物に出会えるはずです。探し続ける気持ちさえ忘れなければ。

だって、ぼくらの日常は常に出会いの奇跡で溢れているんですから。

 
 
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 昨日発売のMdN最新号、「君の名は。」が64ページの大特集号です。もちろん買いました!めちゃくちゃおすすめします。

ここにしか載っていない秘蔵情報てんこ盛り。

新海誠監督はもちろん、先に紹介した田中将賀氏や安藤雅司氏をはじめ、この映画を作り上げた方々のインタビューも多数掲載されいます。
これ読んでもう一回「 君の名は。」を観にいったら、より楽しめること間違いなしです。(AmazonにはKindle版もございます)
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月刊MdN 2016年10月号(特集:君の名は。 彼と彼女と、そして風景が紡ぐ物語 / 新海誠)