[感想]『湯を沸かすほどの熱い愛』は泣ける映画ではなく泣いてる映画。


身体中の水分を沸騰してふきこぼれた水分が涙として溢れ出た、そんな感覚。

湯沸かすなんて生温い。もうグツグツに煮えたぎりましたよこっちは。映画観て涙が顎から滴り落ちるなんて初めてでしたよ、目パンパンですよ、どうしてくれるんですか全く。

“泣ける映画”とか“お涙頂戴映画”とか、そんな陳腐な宣伝言葉でこの映画をくくってほしくない。

「泣ける映画」ではなくて「泣いてる映画」です。勝手に涙が溢れます。
なぜだか涙が止まらない、これが正義じゃなくてなんなのだ!

映画鑑賞後にヤフーレビューのぞいてみたんですが、意外に悪い評価が多くてびっくり!皆さん目が肥えてらっしゃるなー、きっと年間何百本と映画を観てらっしゃるんだろうなー、すごいなー!ぼくみたいなガキは素直に素晴らしい映画だと思ってしまいましたよ!ハハハ!

映画『湯を沸かすほどの熱い愛』について

『紙の月』などの宮沢りえと、『愛を積むひと』などの杉咲花が母娘を演じ、余命宣告を受けた主人公の奮闘に迫る家族ドラマ。行方不明の夫を連れ戻すことをはじめ、最後の四つの願い事をかなえようと奔走するヒロインの姿を捉える。『チチを撮りに』などの中野量太が監督と脚本を担当し、物語を紡ぎ出す。母親と娘の強い絆はもとより、人生の喜怒哀楽を詰め込んだストーリーに夢中になる。

引用:NAVER

【キャスト】

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幸野 双葉 : 宮沢りえ

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幸野 安澄 : 杉咲花

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幸野 一浩 : オダギリジョー

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向井 拓海 : 松坂桃李

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片瀬 鮎子 : 伊東蒼

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酒巻 君江 : 篠原ゆき子

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滝本 : 駿河太郎

監督:中野量太

『チチを撮りに』(12)が、第9回SKIPシティ国際Dシネマ映画祭にて日本人初の監督賞を受賞、第63回ベルリン国際映画祭正式招待を皮切りに、各国の映画祭に招待され、第3回サハリン国際映画祭グランプリなど国内外で14の賞に輝く。本作が商業映画デビュー作となる、いま日本で最も注目の若手監督の一人。

公式HP引用

映画『湯を沸かすほどの熱い愛』感想

ロック好きは観るべし

たぶんぼくみたいにロック好きな人はこの映画も好きだと思うんですよね。別にロックの名曲が使用されているとかではないです。

ただ、この映画はロックと似ているんです。

“ロックは大事なことをユーモアの中に隠して伝えるもの”みたいな考えがぼくの中にはあって、この映画もまさにそうなんです。

真剣な話なのに冗談で茶化すとか感動的シーンなのに笑いをいれてくるとか。でも、締めるところは締めるカッコつけるところはきっちりカッコつけるみたいな。

一番似ているのは、得体のしれない大きな力(この映画だと病気)から逃げずに堂々と立ち向かうところですね。

本当にこの映画はロックにそっくりです。

きのこ帝国の主題歌『愛のゆくえ』


ロックつながりでいうとこの映画の主題歌はきのこ帝国ですよね。いやー、好きなバンドなんですよ、きのこ帝国。きのこ帝国好きな方はたぶん、この記事で紹介しているシューゲイザーとか好きなはず。良ければぜひ。

雨の日に聴きたい音楽、シューゲイザーロック
*2016/11/27 追記 雨の日に聴きたい音楽、シューゲイザーロック。 あなたは雨の日は嫌いですか? ぼくは嫌いです(...

じつはぼく、先日きのこ帝国の佐藤さんにお会いしたんですよ、仕事で。

そう、お会いしたといっても一言お疲れ様です。と挨拶しただけなのでご本人は覚えてるはずないんですけどね。間近で見てもお美しい方でした。

『湯を沸かすほどの熱い愛』のために書き下ろされた『愛のゆくえ』はこの映画の一部でした。ぴったりというか、この映画のエンドールに流れる曲は『愛のゆくえ』以外にあり得ない。エンドロールで映画を思い出してまた号泣なんてはじめての経験でした。

よくある「難病ものお涙頂戴映画」と思うことなかれ

この映画の題材は所謂一つの『難病もの』で、よくも悪くも使い古された王道のテーマであるといえます。難病ものに付き物なのは登場人物の死とそれに対する涙ですよね。これでもかと畳みかけてくるお涙頂戴展開の連続。でもこの映画は違うんです。

監督は、「泣かせることだけを考えてない」んです。とても感動的なシーン、本来であれば「はい!ここ泣くところです!」シーンの直後にクスリと笑える仕掛けがある。これ、たぶん相当計算されているんだと思いますが、この「泣き」と「笑いの」の絶妙なバランス感覚と相乗効果。これによってぼくら観客は感動シーンに涙しながら笑っているという泣き笑い状態に陥るわけです。なんというか感動も涙も押しつけがまくない。客席からはよく笑い声と鼻をすする音が同時に聞こえていました。

脚本・演出(リアリティー云々はおいとこうぜ)

脚本・演出が学芸会レベルというレビューも見ましたが、どこがよ?て感じなんですよね、ぼくてきには。脚本や演出にマイナス評価をされている方はほぼ皆さん、「リアリティーが無さ過ぎる」ということを言及されていました。まぁね、ヒッチハイクで乗っけただけの怪しげな男を住み込みで雇うとか確かにリアリティーはないですけど、でも映画って結局どこまでいってもつくりものですし、そういうのも都合よく“まぁいいじゃん”て思えるかどうかだと思うんですよね。御都合主義というかね。もちろん製作者の手腕によるところが大きいんでしょうけど。ぼくは気にならなかったなー。そんなこと気にならないほど他で圧倒されました。

何よりこの映画で感じた人間の温度は、どの映画よりもリアルだった。

映画も人生も、都合よく観て都合よく生きた方が楽しいですよきっと。

あとがき

今月初めに感想記事を書いた映画『溺れるナイフ』が、若さと勢い、圧倒的才能とセンスで作り上げた映画なら、『湯を沸かすほどの熱い愛』は、ひたすらな努力と培ってきた経験、映画への知識と愛情で作り上げた映画だと感じました。(溺れるナイフの山戸監督に映画愛が感じられないという意味ではない)

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公開初日、観てきました、映画『溺れるナイフ』。 感想やネタバレ込みのあらすじを書こうと思っても、ペンが…いや指が、キーボー...

映画の知識も何もない一観客が感じたことです。

涙が出る=いい映画だとは思いませんが、この映画はよかった!それだけは自信を持って言えます。

心が熱せられてあったかくなりました。